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クロアチアワイン特集 Vol.3(産地 大陸部)

東欧ワイン

クロアチアのワインについて、全4回に分けて特集していきます。
今回は、クロアチアワインの産地、大陸部を地図を交え解説していきます。

Vol.3 目次
・クロアチアの産地
 〈大陸部〉
  7.ポドゥナリエ  PODUNAVLJE
  8.スラヴォニア SLAVONIA
  9.モスラヴィーナ MOSLAVINA
  10.プレシヴィツァ PLEŠIVICA
  11.ザゴリエ・メディムリエ ZAGORIJE MEDIMURJE
  12.プリゴリェ・ビロゴラ PRIGORIE ‒ BILOGORA

クロアチアの産地
〈大陸部〉

7.ポドゥナリエ  PODUNAVLJE


主要黒葡萄品種
・フランコフカ (Frankovka)
・カベルネ・ソーヴィニヨン (Cabernet Sauvignon)
・メルロー (Merlot)
主要白葡萄品種
・グラシェヴィーナ (Graševina)
・トラミナッツ (Traminac)

生産者イロチュキ・ポドゥルミ所有のプリンシポヴァッツの丘
(ポドゥナリエ/ イロク)にある城

寒さが厳しい冬、寒さが少し残る春、暑い夏、ちょうどいい気候の秋という気候条件のおかげで、様々な萄品種の栽培に適していますが、この地域では丘陵地の傾斜面に畑を作ることが最重要です。なぜならば、この地域は低地が多く、春先に葡萄には大敵である霜に覆われるからです。丘陵地であれば風通しがよく、病害が発生するリスクを抑えることができます。イロクのプリンシポヴァッツの丘の畑のように、小高い丘の上にあり、常に一定の穏やかな風が吹くことや、適切な標高に畑があることが、最良の葡萄を生み出すための条件となります。
主要品種はトラミナッツ(Traminac)とグラシェヴィーナ(Graševina)種で、両種はクロアチアでは大変人気があり、素晴らしいポテンシャルを持っています。また生産者イロチュキ・ポドゥルミのグラシェヴィーナ種は収穫量の大幅な軽減とタイミングの良い収穫によって、その特徴、つまり花や果実の香りが芳醇で、果実味の強い、ジューシーで爽やかな味わいが特徴です。イロチュキ・ポドゥルミのトラミナッツ(Traminac)種は1953 年のエリザベス女王即位の際に11,000 本贈呈されました。また、アイスワインも一定して良い結果が得ることができ、同ワイナリーのアイスワインは2018 年5 月のヘンリー王子とメーガン妃の結婚式にも贈呈されました。

8.スラヴォニア SLAVONIA


主要黒葡萄品種
・ピノ・ツルニ(Pinot Crini)(ピノ・ノワール)
・フランコフカ(Frankovka)(ブラウフレンキシュ)
・メルロー (Merlot)
・カベルネ・ソーヴィニヨン (Cabernet Sauvignon)
主要白葡萄品種
・グラシェヴィーナ (Graševina)
・シャルドネ(Chardonnay)
・ピノグリ (Pinot Gris)
・ラインスキ・リースリング(Rajnski Rizling)(リースリング)
・シルヴァーナッツ・ゼレニ(Silvanac zeleni)(シルヴァーナー)

スラヴォニアの丘の上のブドウ畑

古代ローマ時代にこのエリアで葡萄栽培が始まりました。その後、クティエボ修道院のシトー会がワイン生産をクリスチャンの伝統の重要なパートナーとして位置づけし、農業全体を組織化、葡萄栽培の再開に尽力しました。スラヴォニア地方のグラシェヴィーナは、やさしいアーモンドのニュアンスや、カモミールや緑茶、干し草の香りを感じ、リンゴなどの熟した果実を思わせるフルーティーな味わいが特徴です。ラインスキ・リースリング(Rajnski Rizling)種も人気があり、柑橘のニュアンス、シリアスさが高まる余韻、ペトロール香が特徴です。また、シャルドネ種やピノ・ツルニ(Pinot Crini)種(ピノ・ノワール)などのブルゴーニュ品種が多く導入されていますが、ブルゴーニュが同緯度にあることも起因していると思われます。

9.モスラヴィーナ MOSLAVINA


主要白葡萄品種
・シュクレット (Skrlet)
・ディシェチャ・ラニナ (Dišeća Ranina)

モスラヴィーナは大陸部ではめずらしくフランスやドイツ品種の影響を受けてないワイン産地です。ワインの伝統は何世紀も前まで遡ることができ、古代ローマの作家たちは、シスチア(現在のシサク)の近くのモンス・クラウディウス(Mons Claudius)、モスラヴァチェカ・ゴラ(Moslavačka gora)の斜面でローマ兵士たちによって造られたワインを称賛していました。シュクレット(Skrlet)種は一番人気のある名高い土着品種で、ほとんどの主要生産が栽培を手掛けています。アルコール度数がさほど高くなく、酸度が高い上品かつキレのある味わいが特徴で、ドライハーブのニュアンスもあります。

10.プレシヴィツァ PLEŠIVICA


主要黒葡萄品種
・ポルトギザッツ(Portugizac)(ポルトギーザー)
・ピノ・ツルニ(Pinot crni)(ピノ・ノワール)
主要白葡萄品種
・ラインスキ・リースリング (Rajnski rizling)(リースリング)
・ソーヴィニヨン・ブラン (Sauvignon blanc)
・シャルドネ (Chardonnay)

クロアチア首都ザグレブ

プレシヴィツァ地域は古くからの土着品種から、アメリカ原産の品種(ノア、イザベラ、デラウェア)まで様々な品種の栽培が行われていることで知られています。国際品種に関しては品種単位での栽培が行われていて、シペリエ(Šipelj)、プラヴァッツ・ズティ(Plavec žuti)、クラリエヴィーナ(Kraljevina)、モスラヴァッツ(Moslavac)などは混植の畑で栽培されています。プレシヴィツァ地域で最も好条件の畑は、標高の高い立地が多く、風通しが良い場所です。葡萄畑は非常に急な斜面にあることが多く、日照もよく、理想的な葡萄が収穫されます。このことは冷涼な気候や日当たりの良さを必要とする品種であるラインスキ・リースリング(Rajnski rizling)にとっては最適な自然環境と言えます。

11.ザゴリエ・メディムリエ ZAGORIJE MEDIMURJE


主要白葡萄品種
ソーヴィニヨン・ブラン (Sauvignon Blanc)
ムシュカット・ズティ (Muškat Žuti)

クロアチアの最も北にあり、トルコの占領から逃れてきたこのエリアは、ワインの伝統は脈々と受け継がれ、その歴史は古代ローマまでさかのぼることができます。葡萄の畑の所有単位は小さく、市場に出回ることなくほとんどが個人の使用目的で生産されています。
ヴァラジュディン(Varaždin)の丘は標高が高く、その美しい勾配の斜面では秋の弱い太陽光がゆっくりと葡萄の糖度を引き出します。
そのような条件下のソーヴィニヨン・ビエリは格調高く魅力的なフレーバーを醸し出し、スグリや草の香りがします。

12.プリゴリェ・ビロゴラ PRIGORIE ‒ BILOGORA

カルニク山( プリゴリエ) の斜面にあるぶどう畑

主要白葡萄品種
・クラリエヴィーナ (Kraljevina)
・シルヴァーナッツ・ゼレニ
(Silvanac Zeleni)(シルヴァーナー)
・ピノ・ビエリ (Pinot Bijeli)(ピノ・ブラン)

このエリアではワイン生産が何世紀にもわたってこの地の住民の主要な収入源になってきました。
協会やザグレブ教区、グラデッツとクリジュヴチの王都、農奴も含めて葡萄を主要な農作物として扱っていました。
現在では葡萄の所有単位が非常に小さく、人々は娯楽のようにワイン造りを楽しみます。古くからの土着品種である、クラリエヴィーナ(Kraljevina)種、モスラヴァッツ(Moslavac)種、ベリーナ(Belina)種を混植混醸させる伝統的な方法でワイン造りが行われています。特にクラリエヴィーナ種のような品種はクロアチアとしては保存すべく重要な葡萄品種であり、新しい流行への対応に時間がかかる保守的なエリアであることも、これらの品種が生き残ってきた要因となっています。またこの地域はクロアチア国内のワイン生産地の中でも冷涼な地域で、葡萄もワインも酸度が高くなります。そこで高い酸度が望ましいとされる甘口ワインや貴腐葡萄の収穫は国内ではトップクラスです。

出典:Wines of Croatia / Croatian Chamber of economy 日本ソムリエ協会教本

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次回、クロアチアワイン特集 Vol.4(生産者紹介 イロチュキ・ポドゥルミ)に続く

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