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ハンガリーワイン特集 Vol.2(国の概要、ワインの歴史と現在、主なブドウ品種、ワイン法等)

東欧ワイン

全4回に分けてハンガリーワインを特集しております。
第2回目は、国の概要、ワインの歴史と現在、主なブドウ品種、ワイン法と品質分類についてご紹介します。

目次
ハンガリー共和国
  ◎国の概要
  ◎国の歴史
  ◎ハンガリーワインの歴史と現在
ハンガリーの主なブドウ品種(2 0 1 7年のデータより)
  ◎白ブドウ
  ◎黒ブドウ
ワイン法と品質分類

執筆 澤辺小友美

執筆者紹介記事はこちらから

ハンガリー共和国

国の概要


ハンガリー共和国(ハンガリー語ではマジャロルサーグ)は中央ヨーロッパに位置し、オーストリア、スロバキア、ウクライナ、ルーマニアと国境を接します。国の中央をドナウ河が縦断し、“ドナウの真珠” と呼ばれる首都ブダペストは、1873年にドナウ河を挟んでブダとペシュト、そしてオーブダ(古いブダ)という町が合体してできた街です。国土は約93,000k㎡(日本の約4 分の1)、人口は約980万人、民族はハンガリー人約86%、ロマ( ジプシー)人約3.2%、ドイツ人約1.9%等(2011年国勢調査)。言語はハンガリー語で、宗教はカトリック 約39%、カルヴァン派 約12%などです。

ハンガリーの人々は日本と同様、姓名の順に名前を読み、塩=só(ショー)、水=(vizヴィズ)など、日本語にとてもよく似た言葉があり、文法も日本語によく似通っています。ハンガリー料理を代表する“グヤーシュ’’ 等にもよく使われるパプリカからビタミンCを発見した研究者が1931年にノーベル賞を受賞したことを始め、ボールペンや電話交換機の発明をしたのもハンガリー人で、この他にも多くのノーベル賞受賞者がいるのです。また、バルトークやリストといった音楽家の出身地でもあり、ブダペストにあるリスト音楽院には日本から毎年多くの学生が留学しています。

国の歴史


紀元1世紀にローマ帝国の一部となり、その後4世紀後半にフン族が侵入、9世紀後半になるとアジア系遊牧民族マジャル人が定住し、西暦1000年、イシュトヴァーン1世がキリスト教に改宗したことによりマジャルの国(マジャロルサーグ)が建国されました。16世紀にはオスマン帝国、17世紀にはハプスブルク帝国に占領され、1867年にオーストリア=ハンガリーニ重帝国が成立、1918年第一次世界大戦で敗戦しオーストリアと分離、第二次世界大戦後には1946年には共産政権としてハンガリー人民共和国としてソ連の支配下に置かれ、1989年5月にオーストリアとの国境の鉄条網を撤去し、東ドイツから西ドイツヘの亡命を手助けした
“汎ヨーロッパ・ピクニック計画”を起こし、これが引き金となってベルリンの壁崩壊、1990年ドイツ再統一、1991年ソ連邦崩壊などにつながっていきました。
現在のハンガリー共和国は1989年10月23日に成立し、2004年にはEUに加盟しましたが、通過は現在もフォリントが使われています。2019年、日本ハンガリー外交樹立150周年を迎えました。

ハンガリーワインの歴史と現在


ハンガリー語でブドウはszőlő(発音はスェールェー)、ワインは”bor“(ボル)といい、ラテン語を語源とするフランス語の”vin”やイタリア語の“vino”,または英語の”wine”とは明らかに異なります。つまり、ローマ部族がハンガリーを占領した頃には、有史以来のブドウ栽培の基礎ができていたと推察されます。
その後ローマの貴族社会からの圧力によりパンノニア(ドナウ河の西側)でのワイン生産が禁じられ、ブドウの伐採が命じられましたが、その後、282年、プロブス皇帝の命によって再びパンノニアにブドウ畑が植えられました。このように、紀元前からブドウ栽培が行われていましたが、本格的なワイン造りは古代ローマ人によって伝えられたと言われています。
西暦1000年にハンガリー王国が建国され、それに伴いベネディクト派の宣教師達により商業的革新がもたらされ、ワイン生産とブドウ栽培地域の拡大に貢献しました。
ハンガリーワインを代表するトカイワインについては、仏王ルイ14世が『王のワインであり、ワインの王である』と称賛したと言われることで有名ですが、そのトカイの貴腐ワインの起源については1650年のセプシ・ラッコー・マーテー卿の逸話の他に、実はそれより以前1550年代の記述が見つかっています。

ソビエトの支配によりハンガリーワインのインフラと市場は潰され、国営化が進み、1949年から1970年の間の政治的失敗により、40,000ヘクタールの歴史的なブドウ畑が消滅。1970年代半ばから、ハンガリーワインの60%近くがソビエト連邦向けに輸出され、西側諸国に輸出されたのはわずか15%でした。
“質より量” を求められたロシア支配の時代が終わり、1989年に共和国に体制転換されて以降、外国資本がハンガリーに多く入るようになり、特にトカイ地方ではフランスなどから近代的なワイン造りが広く等入されました。また、他のワイン産地でも外資による技術革新が進み、「量より質」への移行が進みました。
2018年現在、ブドウ畑の面積は約65,000haで、白ブドウが約70%、黒ブドウが約30%作られています。
2018年現在のワインの生産量は約330万hl。
ハンガリーワインの主な輸出先はドイツ、チェコ、スロバキア、イギリス、オーストリアで、ハンガリー人の平均年間消費童は26.9ℓです。
現在、オーガニックの葡萄栽培面積は1890haで全体の3%となっています。

ハンガリーの主なブドウ品種(2017年のデータより)

白ブドウ


◎ビアンカ Bianca
◎チェルセギ・フューセレッシュ Cserszegi Fűszeres
アロマティックかつスパイシーで、酸度も高めの品種。
イルシャイ・オリヴェールとレッド・トラミネールを掛け合わせて作られた配合品種。
◎オラスリズリング Olaszrizling
(ウェルシュリースリング Welschriesling)
ハンガリー全国で最も多く植えられている品種で、カルパチア盆地でとても人気が高いです。ラインリースリングと混同されることが多いのですが、全く別の品種です。オーストリア、ドイツのウェルシュリースリング、クロアチアのグラシェヴィーナ、スロヴェニアのラツキ・リースリングと同義語となります。
◎フルミント Furmint
トカイ地方が原産であることを証明する文献が、1611年に残されている品種。現在では、ハンガリー全国で育てられており、長期熟成に効く品種かどうかで議論がなされています。
◎シャルドネ Chardonnay
◎リスリング・スィルヴァーニ rizlingszilváni
◎ハールシュレヴェリュ Hárslevelű
フルミントと並びトカイ地方原産の品種と言われており、葉の形状が月桂樹の葉に似ていることからこの名前がつきました。最近のDNA調査により、フルミントがハールシュレヴェリュの片親であることがわかりました。
◎スルケバラート Szürkebarát (ピノグリ)
マートラ地方とバラトン湖周辺で1500haにわたって植えられている品種です。1375年ローマ皇帝チャールズ4世がフランスからピノグリの苗をもたらし、灰色のマントを着た僧侶たちがバラトン湖畔の丘に植えたのが始まりと言われています。ピノグリがスルケバラートと呼ばれるのは、“灰色の僧侶” によると考えられています。また、1568年には、ハンガリーのピノグリが当時フランス領であったアルザスにもたらされ、甘ロワインに造られていたこともあり、当時世界的にもてはやされていた“トカイ” の名前を冠して、“トケイ・ピノ・グリ’’ と呼ばれていました。
◎アレッタ Aletta
◎イルシャイ・オリヴェール Irsai Oliver
ハンガリー全国で植えられている人気の品種。酸が低めで早飲みタイプのワインができます。

黒ブドウ


◎ケークフランコシュ Kékfrankos
(ブラウフランキッシュ Blaufränkisch)
ハンガリーで最も多く育てられているブドウで、全国で8000haの畑があり、中でもショプロンでは1100haと、世界最大の面積の畑があります。
◎カベルネ・ソーヴィニョン Cabernet Sauvignon
◎メルロー Merlot
◎ツヴァイゲルト Zweigelt
◎カベルネ・フラン Cabernet Franc
◎ピノ・ノワール Pinot Noir
◎ケークオポルトー Kekoportó
 ポルトギーザー Portugieser
◎ブラウブルガー Blauburger
◎カダルカ Kadarka
◎シラー Syrah

ワイン法と品質分類

1956年にはハンガリーでもフランスのアペラシオン・コントローレ同様のワイン法を制定し、14の生産地区に分類して原産地の品質を保証してきました。
国の自由化後の1994年9月15日には20に、続いて1997年の改正ワイン法により22の指定地域に分類されました。2009年8月l日に発効された新しいEU規則にのっとり、ハンガリーワインは2011年から以下の3つのカテゴリー分けがされるようになりました。
1 )“FN”「地理的表示なしワイン」(以前のアスタル・ボル(テーブルワイン))
2 )“OFJ”:[地理的表示保護ワイン]ヨーロッパのPGI(以前のラントワイン)
3 )“OEM”(oltalom alatt älló eredetmegjelölés):「原産地呼称保護ワイン」ヨーロッパのPDO, DOP,フランスのAOP(以前の高級ワイン)

( 参考資料:http://gi.gov. hu/boaszati-termekek/ )

ここでは、ハンガリ一国内で現在も汎用性の高い、6つのワイン産地と22の指定ワイン生産地区についてご紹介することにいたします。

*EU規定に基づく現行法については、備考としてこのコラムの最後に記載いたしますので、ご参照ください。

↓↓ ハンガリーワインの取り扱いはこちら
https://vnts.shop/SHOP/265524/list.html

次回、ハンガリーワイン特集 Vol.3(産地)に続く

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