失敗したくない!コルクの開け方のコツを伝授
ワイン好きなら確実に成功させたい「コルクの抜栓」。
これからワインを楽しむという時に、折れてしまった…なんてことがあったらがっかりしてしまいますよね。
高級なワインほどコルクが長く、時間が経つにしたがいコルクはもろくなっていきます。
毎回上手くできないという方に自信を持っていただくために、今回は基本的なコルク栓の開け方や、
途中で折れてしまった時の対処法、道具を必要としないシャンパンのコルクを開ける時のポイントなどを解説します。
抜栓のしかたは人それぞれですので、ご自分のやりやすい方法や道具を見つけてくださいね。
目次
- コルクの種類とその難易度
- コツさえわかれば大丈夫!コルクの開け方
- シャンパンコルクはソムリエナイフを使いません
- 抜栓は難しくない
コルクの種類とその難易度
コルクの歴史は古く、古代ギリシャ時代にはすでに使用されており、16世紀にガラス瓶がつくられたことによりその需要は急激に伸びたと言われています。
コルクが持つ弾力性と加工のしやすさ、腐敗と酸に強く長期間の保管にも耐えられるというワインの保存に欠かせないコルクは、現在でも多くのワインに使用されています。
- 天然コルク 弾力性があり圧縮しても元に戻るので加工がしやすく、天然コルクの酸素透過性は還元臭を防ぐために最適とされている。長期熟成をさせるタイプや、格調を重んじる高級ワインに使用されている。 天然の素材なので品質にばらつきがあり、液漏れなどのトラブルが起こる場合もある。 高級ワインに使用される長いコルクや、長期熟成された古いコルクを抜栓する際の難易度は非常に高い。
- 圧搾コルク(テクニカルコルク) 天然コルクを細かく砕き、樹脂などで形成したもの。 コルク臭の発生は天然コルクに比べて極めて低く品質が安定している。 安価なものは表面の樹脂が短期間で分解されるため長期熟成のワインには不向きとされているが、 近年では長期熟成させるワインにも対応できる圧搾コルクがつくられている。 安価なワインから高級ワインまで広く使用されており、抜栓の難易度は比較的やさしい。
- 合成コルク プラスチック素材などの合成樹脂を使用したコルク型のクロージャー。 酸素透過性が高く安価なワインに多く用いられてきたが、長期保存に適した酸素透過性のものもある。 天然コルクや圧搾コルクと比較すると弾力性が少なく固くて開けづらい傾向にある。
- スパークリングワイン用コルク ボトルの口よりも大きな円筒状のコルクを瓶に差し込み、ガス圧でコルクが外れないよう、 上からワイヤーがかけられている。天然コルクと圧搾コルクを組み合わせてつくられている場合もある。 ガス圧でコルクが飛んでしまうことがあるので慎重に行う必要があり、道具を使わずに開けることが出来る。
コツさえわかれば大丈夫!コルクの開け方
ワインのタイプによってコルクの形状、長さに違いがありますが、コツを掴めば誰でも開けることができます
- ソムリエナイフ(シングルアクション・ダブルアクション) ナイフ・ハンドル・フック・コルクスクリューの4つの部位があり、キャップシールの開封と抜栓がひとつでできるオープナー。 てこの原理で簡単に力を加えることができ、フック部分が2段階になっているダブルアクションと1段階だけのシングルアクションという2つのタイプがある。
- T字型ワインオープナー ハンドルにコルクスクリューが付いているだけのシンプルな作りのオープナーで、抜栓に力が必要。 キャップシールを切ることができないので、キャップシール・カッターでカットをする必要がある。
- ウイング型オープナー ボトルの真上にオープナーをセットし、ハンドルを回してスクリューをコルクに差し込み、左右に広がったハンドルを押し下げて抜栓するオープナー。力はあまり必要ないが脆いコルクだと割れることが多い。 T字型同様、キャップシールを切ることができないので別にキャップシール・カッターでカットする必要がある。
- プロング式(ハサミ型)オープナー スクリューではなく並行な2枚の刃をコルクと瓶の間に差し込んで抜栓するオープナーで、慣れるまでは扱いが難しいオープナー。スクリューだと割れてしまうような古いコルク栓を抜く場合に使用されることが多い。 左右に揺らしながら刃を差し込み、差し込んだら回しながら栓を抜く。 天然コルクや圧搾コルクは問題ないが、樹脂製のコルクの場合ボトルが割れてしまう可能性がある。
- デュランド式オープナー T字型ワインオープナーとプロング式(ハサミ型)オープナーの両方の機能を合わせたオープナー。 スクリューをコルクに差し込み、その上からプロング式の刃を差し込むことでコルクがホールドされ、 安定した状態でコルクを引き抜くことができる。
ソムリエナイフを使用した場合の手順を解説します。
- キャップシールを切る(剥がす) ナイフ部分を出したソムリエナイフを利き手で持ち、もう一方の手でボトルをしっかり持つ。 ボトルの口の下の凹みに引っ掛けるよう、少し上向きにナイフを沿わせ、キャップシールをカットする。
- コルクスクリューを差し込む シールを剥がしたらボトルの口を軽く拭いて、コルクスクリューの先端をコルクの真ん中に斜めに押し込む スクリューを回し、コルクに差し込みながらスクリューが垂直になるように角度を調整する。
- ハンドル部分を引き上げる スクリューが入ったら、フック部分をボトルの口に引っ掛けて、ハンドル部分を引き上げる。 ハンドルではなくフックに力がかかるイメージで引き抜く。
- コルクを抜き、状態を確認する 3分の2程度コルクが出てきたら、最後は手で優しく引き抜く。 抜栓後はボトルの口をよく拭く。
- コルクが折れてしまったら コルクが途中で折れてしまっても問題はありません。 折れてしまったコルクにゆっくりとスクリューの先端を差し込み、うまく差し込めたらスクリューを回し、通常の抜栓と同様にコルクを引き出します。
まっすぐよりも極端に斜めに入れると成功率も上がります。残ったコルクが崩れてしまったり、うまく差し込めない場合はボトルの中に落としてしまいましょう。
コルク・リフトと呼ばれるボトル内に落としたコルクを取り出す道具もありますが、無ければグラスに注ぐ際に茶漉しでコルクを取り除く方法もありますし、コーヒーフィルターなどを使ってワインを濾して、他のボトルやデキャンタに移して楽しむこともできます。
- 難易度 ★★ 圧搾コルク・天然コルク 多くのワインに使われている圧搾コルクは柔らかく弾力があり、スクリューを差し込みやすいので比較的難易度は低いのではないかと思います。
- 難易度 ★★★ 合成コルク 近年増えてきている合成コルク(樹脂コルク)ですが、圧搾コルクや天然コルクに比べると硬さがあり密閉度も高いので、開けるのに力が必要だと感じる方も多いのではないでしょうか。 通常のコルクであれば木くずが入ってしまう可能性があるので、コルクに差し込んだスクリューは貫通させないものですが、 木くずが落ちることはない樹脂の場合は、スクリューを貫通させ空気を入れることで、必要以上に力を入れなくても開けることができます。
- 難易度 ★★★★★ 古い天然コルク 保存状態によってコルクの状態が変わるので、経験豊富なソムリエでも古酒の抜栓は難しいと言われています。
- コルクの木くずがワインに入らないよう、パニエに固定して抜栓する
- キャップシールは全て剥がし、口の部分をよく拭く
- スクリューを差し込む時、真ん中ではなく端から斜めにスクリューを差し込み、貫通させる。
- オールドヴィンテージでリコルクされていないワインのコルクは折れてしまいやすく、 一度では開かないので、少しずつスクリューを差し込み、少しずつハンドルを引き上げる。
- 途中で崩れてしまった場合、ピンセット等でコルクを取り出し、口の部分をよく拭く。 力を入れずに、焦らずゆっくり行うことが最大のポイントです。
シャンパンコルクはソムリエナイフを使いません
シャンパンに限らず、スパークリングタイプは道具を使わずに開けられるものが多く、できるだけ音を立てずに開けるのがスマートだと言われています。
- よく冷やす(4度〜6度) 温度が下がることでガス圧が下がり開けやすくなります。
- 振動を与えない 飲む数時間前から冷蔵庫で静かに置いておくと、開けた時に吹き出す危険性が減ります。
- キャップシールを切る(剥がす) キャップシールを剥がします。スパークリングタイプのワインはキャップシールに切り取り線が付いているものも多いです。
- ワイヤーを緩める シールを剥がしたらコルクの上にかぶさっているワイヤーのリング部分を立ち上げ、回してワイヤーを緩めます。利き手の反対側の手でコルクが飛び出さないよう押さえながら行いましょう。
- ナフキンなどの布をかけて上から手で抑える ナフキンの上から利き手でコルクを持ち、左右に揺らしながら上げていくと、途中からガス圧でコルクが勝手に上がってきます。浮き上がってきたコルクを左右のどちらかに倒して圧を抜いてあげると、大きな音を出さずに開けることができます。
慣れてしまえば簡単に開けられるスパークリングタイプの抜栓ですが、 シャンパーニュオープナーという道具もありますので、ご自分に合った方法を探してみてくださいね。
抜栓は難しくない
今回はコルクの開け方についてご紹介しました。
貴重な古酒の抜栓となると経験豊富なソムリエでも難しい技術となってきますし、
サービスに従事している方なら、お客様に見られている状況でスマートに開け、滞りなくサービスをするにはそれなりの練習が必要だと思います。
一言にコルクと言ってもいろいろな仕様なものがあり、凝った刻印のものも多く、それは開けた人にしかわからない楽しみのひとつでもあるので、苦手意識を持たずにぜひ抜栓に挑戦してみてください。