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フランスワインの基礎知識【ボルドー編】

ワインの基礎知識

誰でも一度は聞いたことがあるフランスワインの産地ボルドーを分かりやすく解説。ボルドーの歴史と特徴、品種の個性、おすすめワインをご紹介します。

目次
1.ボルドーの歴史と特徴
2.ボルドーの主要ワイン用ブドウ品種
3.おすすめボルドーワイン 10選

ボルドーの歴史と特徴

ボルドー地方とは -世界最高位のワインの産地-


そもそもボルドーとは、フランス南西部に位置する中核的な都市であり、ガロンヌ川に面する港町のボルドー市のことです。川に沿って三日月型の地形となっていることから、「月の港」という別名がついています。

ボルドーという名称はジロンド県の県庁所在地としてよりも、「ボルドーワイン」の名産地として世界的に有名です。産地としてのボルドーは、名前そのものがワインの代名詞として世界最高ランクのブランド価値を持っています。そしてガロンヌ川だけでなく、ジロンド河、ドルドーニュ川の3つの河川に隣接しております。産地としてのボルドーはボルドー市というよりも、むしろ行政区画であるジロンド県と重なります。

古くはガロ・ローマの時代から葡萄の栽培を盛んに行っている地域で、その頃からワインの評価も高かったと言われています。またボルドーは複数の有名な河川が通っている交通の要衝であり、北欧交易の拠点となる港町として発展してきた歴史もあります。

かつて英国領であったボルドーは、その英国との強固な結びつきにより大きく発展してきました。中世の時代よりビスケー湾へ流れる川を通し、豊富なワインが世界中に運び出され、今では世界最上位のワインとして絶対的なブランドとなっています。

ボルドーワインとは -世界に誇る「ワインの女王」-


ボルドーワインとは、必ずしもボルドー市の中で産出されるワインというわけでありません。正確には、ボルドー市を中心とするジロンド県一帯で産出されるワインの総称です。その為、ジロンド県全域において産出されたワインは「ボルドー」と名乗ることが可能です。

ボルドー産の赤ワインは酸味と甘みが非常に絶妙であり、他に類をみない繊細な味わいであることから、「ワインの女王」と呼ばれています。また白ワインについても、極甘口の貴腐ワインとして知られる「ソーテルヌワイン」を中心に、高い品質を誇っています。

ボルドーワインの格付け制度とは


ボルドーにおいては、古くから品質ごとにワインの格付けが行われてきました。

ボルドーには大きく分けて「アントル・ドゥー・メール地区」「グラーヴ地区」「メドック地区」の3つの地区に分類されていますが、中でも有名なのは1855年に制定されたメドック地区における格付けです。今なお、この格付け制度がボルドーワインの市場価格に大きな影響力を持っています。

この地方ではワイナリーのことを「シャトー」と呼び、メドックでは61のシャトーが1級〜5級の格付けによってランク分けされています。61シャトーの中でも特に有名なのが、やはり第1級に格付けされているシャトーです。5つのシャトーが格付けされているため「5大シャトー」と呼ばれています。

ボルドーの郷土料理


ボルドーはワインの名産地であることから、郷土料理ももちろんワインに合います。

中でもよく知られているのが「アルカションの牡蠣」です。牡蠣の養殖が盛んなアルカション湾で獲れた新鮮な牡蠣にレモンを絞って食べ、キンキンに冷えた白ワインと合わせれば、至上の幸福が待っています。

またボルドーが属するフランス南西部は鴨の名産地としても有名であり、鴨の胸肉を皮のついた状態で焼き、カシスや洋梨などを用いて作る甘酸っぱいソースをかけて食べる「マグレ・ド・カナール」という郷土料理があります。コクがありまろやかな鴨肉の風味と、ソースの酸味が絶妙にマッチし、ボルドー産のワインともよく合います。

そして世界中で有名な洋菓子「カヌレ」は実はボルドー発祥で、ワインとともに世界中で愛されています。

ボルドーの「左岸」「右岸」とは


ボルドー地方は、大西洋へ注ぐ大きな川であるジロンド川を挟んで「左岸」「右岸」という区分けがされており、それぞれ特徴的なワインの産地として知られています。

ボルドー地方は先程も少し触れたとおり複数の河川が流れており、東の中央山脈から注ぐドルドーニュ川とピレネー山脈から流れるガロンヌ川が合流し、ジロンド川という1つの大きな川へ合流していきます。

ボルドーではワインの生産されるエリアを川からみた岸の位置で呼び、「左岸」「右岸」と分けられます。上流側から下流側を見た際に右手側を「右岸」、左手側を「左岸」と呼んでいます。

また、ボルドーを流れるジロンド川は北側が下流となっています。一般的に北側を上向きにして地図を描くので、地図上流→下流と見たときの右・左なので、つまりボルドーの場合は地図の向きのまま向かって左側が「左岸」右側が「右岸」となります。非常にわかりやすいですね。

より正確性を期して定義づけるとすれば、ガロンヌ川からジロンド川へ合流していく西側を「左岸」、東側を「右岸」と呼びます。そして、ジロンド川へ合流するドルドーニュ川の東側も「右岸」(例:サンテミリオン地区など)です。

左岸の代表的なワインの産地


左岸の代表的なワインの産地としては、「オー・メドック」と「グラーヴ」が挙げられます。

「オー・メドック」は、1855年にナポレオン3世により制定された格付け制度で有名な地区です。ジロンド河の左岸にあり、ボルドー市より下流(北)側に位置します。

メドックで格付けされたシャトーはワインの世界で「最高峰」という意味で使われる言葉「グラン・クリュ」を名乗ることが許され、その中でも1級に格付けされるシャトーを「5大シャトー」と呼びます。

砂礫が中心の土壌が特徴で、ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンという品種のブドウを主体にして造られ、オー・メドックで産出されるワインは世界の高品質カベルネ・ソーヴィニヨンのベンチマークとなっています。

「グラーヴ」はオー・メドックよりも上流に位置し、ボルドー市南側の産地です。グラーヴとは「砂利」を意味し、オー・メドックよりも粗い砂礫質の土壌です。そのため排水性が高く、雨が多い年でも高い品質を誇ります。

オー・メドックの格付け1級のシャトー・オー・ブリオンは、実はグラーヴにあるシャトーです。オー・メドック地区ではないワインが選ばれるのは極めて異例のことです。それほどまでに当時から名を轟かせておりました。

右岸の代表的なワインの産地


右岸の代表的なワインの産地としては、「ポムロル」と「サン・テミリオン」があります。

「ポムロル」はボルドー屈指の高価なワインが造られている土地で、クラス・ド・フェールという酸化鉄の含まれた粘土質の土壌が特徴的です。基本的には砂礫質と粘土質の混合された土壌を持ち、メルロとカベルネ・フランを中心に栽培しています。

「サン・テミリオン」は世界遺産に登録されている、中世の街並みを色濃く残す美しい街です。サン・テミリオンは街周辺のプラトー(台地)エリアと、ポムロルに隣接するグラーヴ(砂利)エリアに大きく分かれるのが特徴です。

台地では右岸の中でも屈指の味わいを誇るメルロが生産されており、砂礫質の土地が中心のグラーヴエリアは砂礫質に向いたカベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンが栽培されています。右岸で砂礫質に向いた品種が栽培されている例は珍しく、それがサン・テミリオンの特色でもあります。

ボルドーの主要ワイン用ブドウ品種

ボルドーのワインは、左岸と右岸で分けられるように、味も大きく異なります。では品種も全く違うのだろうかと思いきやそうではなく、品種自体はどちらも同じです。

ボルドーワインは地域を問わず、複数のワイン品種のブレンドで造られています。代表的な品種として「カベルネ・ソーヴィニヨン」「カベルネ・フラン」「メルロ」などが挙げられますが、実は左岸と右岸とでは、これらのブドウの品種のブレンド比率が異なるのです。

左岸で有名な品種


左岸は産地の場所でも触れた通り基本的には砂礫質に合った品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンが中心に栽培されています。

カベルネ・ソーヴィニヨンは小粒で皮の厚い品種で、成熟は比較的遅く、その分果皮の厚さ(=タンニンの量)と酸味の強さがあり、長期熟成型のワインとなります。

左岸はこのカベルネ・ソーヴィニヨンを主体としてブレンドするため、長期熟成ワインのイメージが強くなります。

右岸で有名な品種


一方右岸では、メルロが主要品種としてワインに使われています。メルロは左岸のカベルネ・ソーヴィニヨンと対照的に、比較的大粒で果皮が薄く豊かな果肉を含む品種です。

成熟が早く、また糖分も早く蓄積されるという特徴から、アルコール度数が高くなりがちで、また果実の香りが豊かで芳醇な味となります。これも酸味が強い左岸のワインとは対極的です。

おすすめボルドーワイン 10選

以上、ボルドーで作られるワインをめぐる歴史や地域特性など様々な基礎知識を網羅して説明させていただきました。ここからはいよいよボルドーワインのおすすめ10選をご紹介しましょう。

赤ワイン


まずはボルドーといえば!の赤ワインから、オススメのワインを6つご紹介します。

ル・オー・メドック・ジスクール

まずは何と言っても「これぞボルドーワイン!」と言える赤ワインから。メドック格付け1級に位置するシャトー・マルゴーと同じマルゴー村にあるシャトー・ジスクールの赤ワイン。

メルロとカベルネ・ソーヴィニヨンを50%ずつブレンドして造られ、芳醇なベリー系の香りと、しっかりとしたタンニンが醸す絶妙なハーモニーがそそられる、まさにボルドーワイン!と言える逸品。日本のワイン漫画でも紹介されました。

コストパフォーマンスに優れているのも嬉しいですよね。

シャトー・ラ・トゥール・サン・ボネ

シャトー・ラ・トゥール・サン・ボネは、世界的ワイン評論家のパーカー氏が30年も飲み続けているワイン。パーカー氏が絶賛する高クオリティを誇りながらもコストパフォーマンスに優れた赤ワインです。

カベルネ・ソーヴィニヨン45%、メルロ45%、カベルネ・フラン5%、プティヴェルド5%をブレンド。タンニンと果実の味の凝縮を楽しめるボルドーワインらしい味わいとなっています。

ドメーヌ・ド・シュヴァリエ ルージュ

ドメーヌ・ド・シュヴァリエは、グラーヴ地区で最も評価の高いシャトーの1つ。

カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドの4品種をブレンド。滑らかなタンニンと、明確なボディを併せ持つ、ボルドーワインらしい味わいで、中でも肉料理との相性が素晴らしい赤ワインです。

シャトー・ベレール・モナンジュ

ここでこれまでの傾向とは違った赤ワインを。べレール・モナンジュは、サン・テミリオンの標高の高い場所にあるシャトーで、日照時間に恵まれた豊かな立地で知られています。

品種はメルロー主体で、明確なボディと凝縮感に加えてしっかりとした熟成による厚みがある、複雑ながらも豊かな味わいが楽しめます。サン・テミリオンならではの魅力を知るなら、このワインを置いて他にはないでしょう。

プピーユ

こちらもメルロを主体としたまろやかな赤ワインで、安価ながらも時価数十万円はくだらない世界最高峰のワイン「ペトリュス」とコンテストで比肩したという驚くべきワイン。

メルロを100%使用しておりフルーティーで飲みやすいのも魅力ですが、何と言ってもこのワインの魅力は長く続く余韻。値段からすると到底味わえないであろう豊かな熟成感をたっぷりとお楽しみください。

シャトー・コス・デストゥルネル

シャトー・コス・デストゥルネルは、メドック地区の格付けにおいて2級に位置しながら、品質で言えば実質1級ともよく言われる評判の高いシャトーで、別名「スーパーセカンド」と呼ばれています。

カベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロ30%、カベルネ・フラン5%のブレンドで、複雑ながら絶妙なバランスが取れている繊細かつ力強い味わいが特徴。ワイン評論家パーカー氏も「限りなく1級に近い」と評しており、間違いのない逸品です。

白ワイン


エール・ダルジャン

エール・ダルジャンは、メドック格付けにおいて5つしかない1級のシャトーである「シャトー・ムートン・ロートシルト」が作っている白ワインです。メドックといえば赤ワインのイメージが強いですが、白ワインもまた高いクオリティを誇っています。味は辛口で、旨味とコクがあり豊かな味わい。

ラベイユ・ド・フューザル ブラン

シャトー・ド・フューザルは300年の歴史を誇る名門シャトーです。赤ワインでグラーヴ地区の格付けにも含まれているのは有名ですが、白ワインにも定評あり。

何と言っても、豊かなフルーティーさで包み込んでくれるような香りが特徴的。キレのある辛口であり酸味も樽香も程よく合わさった、ワインの深奥を感じさせる味わいがたまりません。

価格以上のクオリティながら、市場にはあまり出回っていないようなので、見つけたら即買うことをお勧めします。

ロゼワイン


クラレンドル ロゼ

最後にロゼワインをご紹介。5大シャトーの1つ「シャトー・オー・ブリオン」のオーナーが手がけるクラレンドルです。

ボルドー全域から高品質なブドウを結集させて作られるこのロゼ、美味くないわけがありません。品種としてはメルロ67%、カベルネ・フラン33%という割合になっていますが、ヴィンテージにより細やかに味を調節していることが特徴です。

その手間暇かけたことによる、馥郁たる香りと味わいのバランスを是非召し上がれ。

世界最上位のワインとして絶対的なブランドとなっている「ボルドー」。ワインの産地としても長い歴史があり、誇りを感じますね。世界に誇るワインの女王、是非お試しください。

tomike

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お酒好きなノンジャンルWebライター(2年目)です。 ワインとビールが好物の飲兵衛。 国内・海外問わず一人旅をよくします。 かつて音楽活動をやっていました。...

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