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リンゴのお酒「シードル」とは?

ワインの基礎知識

リンゴのお酒「シードル」。

日本ではあまり馴染みのないお酒ですが、特に暖かい季節になると、
爽やかな果実味ある変わった飲み物として注目を浴びています。

シードルはノルマンディー地方の名産として知られていますが、どういったお酒なのでしょうか。

シードルをより楽しめる飲み方や、自然派志向に好まれるシードルについて、
近年生産者が増えている日本のシードル事情について解説します。

目次

  1. リンゴのお酒「シードル」とは?
  2. シードルのつくり方
  3. 日本産のシードル
  4. シードルに合う料理、最適な温度は?
  5. 控えめアルコールで飲みやすいお酒「シードル」

リンゴのお酒「シードル」とは?

「シードル」はリンゴが原料の醸造酒です。
ワインやビールに比べるとあまり有名ではありませんが、ヨーロッパでは紀元前からつくられていた歴史のあるお酒で、フランス北部のノルマンディーやブルターニュが産地として有名です。

フランス以外でも世界中でつくられており、日本でもリンゴの栽培が盛んな地域でつくられています。

シードルの主な生産地
  • フランス
  • フランスでは古くから北部のノルマンディー地方とブルターニュ地方でつくられており、 ノルマンディーのペイドージュにはシードル醸造所が並んだ「シードル街道」と呼ばれる観光地もあります。 フランスとスペインにまたがるバスク地方でもシードルがつくられています。
  • スペイン
  • シードルはスペインからフランスに伝わったと言われており、スペインでは「シドラ」と呼ばれています。 バスク地方の他に、昼夜の温度差の大きい北部のアストゥリアス州でも盛んにつくられています。
  • イギリス
  • 世界のシードルの約半分を消費しているというイギリス。  現地では「サイダー」と呼ばれ、ビールと同じように古くから親しまれています。
  • ドイツ
  • 「アプフェルヴァイン」と呼ばれ、フランクフルトでは毎年お祭りも開催されるほど地域に根付いています。 リンゴの他に洋梨やレモン、マルメロなどの果物を原料に加えたものもあり、 ビールと同様に多くのバリエーションがあります。
  • アメリカ
  • アメリカではアルコールの入っていないリンゴ果汁の飲料「アップルサイダー」と区別をするため、 シードルのことを「ハードサイダー」と呼びます。
  • 日本
  • 青森県、長野県、北海道など、リンゴが栽培されている地域でつくられています。 食用品種を使用することが多く、その品質の高さから海外からも注目されています。

この他、イタリア、オーストラリアやニュージーランドなど、様々な国でシードルはつくられており、
海外ではビールと同じくらい生活に根付いたお酒となっています。

シードルのつくり方

発泡性のものもあれば非発泡性のものあり、味わいも甘さを感じさせるものからキリッと辛口のものまで。
アルコール度数も2%程度の低めのものから10%程度のものまであり、シードルはワインと同じように
多様性のあるお酒です。

シードルのつくり方
  1. リンゴの収穫と選果
  2. 破砕・搾汁
  3. 発酵・熟成
  4. 濾過・清澄
  5. 瓶詰め

シードルはワインやビールと同じ醸造酒ですので、その作り方も似ています。

ワインと違うところといえば、リンゴ以外の果物を加えて醸造する場合もあることや、
スパイスなどを加えフレーバーを足しているものがあるなど、生産者や国によって醸造法も様々なところです。

発泡性のシードルにする場合の手法もワインとほぼ同じで、大きなタンク内で二次発酵をさせてガスを含ませるものや、炭酸ガスを注入しているもの、シャンパーニュのように瓶内二次発酵をさせて泡を含ませるつくり方をしているものなどがあります。

この他、使用する酵母にブドウと同様に果皮に付着している天然酵母にこだわる生産者や、
ブドウより難しいと言われている、無農薬で栽培したリンゴのみを使用してシードルをつくっている 生産者もおり、ワインと同様に自然派志向の消費者からも指示されています。

日本産のシードル

リンゴは世界に1万5千ほどの品種があると言われており、日本国内でも約2千もの品種が存在します。

栽培されたリンゴは用途別に生食用、調理用、醸造用などに分けられ、フランスでは主に醸造用に栽培されたリンゴを使用するのに対し、日本では生食用のリンゴを使用している生産者も多くいます。

日本の高い栽培技術で生産された生食用リンゴは甘みが強く、その分アルコール度数の高い辛口のシードルをつくることができます。
日本でつくられる辛口のシードルはキリッとクリアな味わいで、和食にも合わせやすくシードルの可能性を大きく広げました。

他にも、原料を生食用品種ではなく、シードルに深みを与える苦味や渋みを持った品種や、酵母との相性が良い醸造用品種での生産も行われおり、日本産シードルの味やタイプのバリエーションは多岐にわたります。

ここ数年でめざましい進化を遂げている日本産シードルは、国内だけでなく海外からも注目されています。

シードルに合う料理、最適な温度は?

シードルは驚くほど味わいのバリエーションがあり、どんななお料理にも合わせられる懐の深さがあります。

ビール感覚で楽しめるものから、シャンパーニュのように繊細な味を表現したものまで 様々な特徴を楽しめますので、お好みのシードルを探すのも楽しそうですね。

●シードルの最適な温度

シードルは5度〜7度くらいに冷やして飲むのがおすすめです。

コクのあるものであれば10度くらいまで温度を上げていくと、ワイン同様に香りが開いていき、飲み始めから最後まで香りの変化を楽しむことができます。

●おすすめのシードルに合う料理

お料理と合わせる時のコツはワインと同じです。 シードルの産地と同じ地方の伝統料理を合わせたり、酸味が強いシードルならば脂と相性が良いので 少しこってりしたお肉料理に合わせたり、ビネガー使ったお料理で酸味同士を合わせるのもおすすめです。 ビールのようにごくごく飲めるタイプのシードルなら、揚げ物なども好相性です。

  1. そば粉のガレット
  2. シードルといえば真っ先に思いつく方も多いのではないでしょうか。  ブルターニュで伝統的に食べられてきた料理「そば粉のガレット」はシードルにぴったりのお料理です。  ハムと卵、じゃがいも、チーズなど、シンプルな食材がシードルのフルーティーさを際立たせてくれます。
  3. カマンベール・チーズ
  4. ノルマンディーのチーズ「カマンベール・ド・ノルマンディー」は、鉄板の組み合わせで、 こちらもシードルと好相性です。 カマンベールの他にも、ブリーなどの白カビや爽やかな酸味を持つシェーブルタイプもシードルにぴったり。
  5. 鶏や豚の照り焼き
  6. お肉の脂やタレの甘さをシードルの酸が中和してくれるのでさっぱり美味しくいただけます。 家庭でもつくりやすいのでぜひ試してみてください。
  7. 魚介のカルパッチョ
  8. ワインだと合わせるものを選ぶ生魚ですが、シードルだと合わせやすくなります。 シードルは生野菜との相性も良いのでサラダを添えていただくのもおすすめです。

控えめアルコールで飲みやすいお酒「シードル」

ヴィノテラスがおすすめする自然派シードル

ドメーヌ・ラ・リボード / シードル ビオロジック [NV]

◆生産者について
フランス北部、ノルマンディーのペイドージュ地方の中心部にワイナリーはあります。リボードは9世代続く家族経営のワイナリーです。ノルマンディーならではの伝統的なスタイルを守り続けている造り手です。
75haの果樹園に約30種類のリンゴと20種類の洋梨を栽培。平均樹齢は20-30年。
中には100年近い古木もあります。土壌は粘土質にフリントストーン。ワイナリーではシードルやポワールの他にカルヴァドスやジュース、ヴィネガーも造っており、全て自社で醸造・熟成を行っています。戦後、現当主の祖父がシードル醸造用の冷却システム(2℃に保つことでアロマを引き出す)を開発したことにより、リボードのみならず、このエリア全体のシードルの味わいが上昇。業界に大きく貢献しました。その後1980年代よりオーガニック栽培を開始し、93年に認証を取得。
“伝統を大切にしながらもチャレンジ精神を持ち続けること”。オーガニックにこだわる事で“食事と合わせて楽しめる、旨味のある味わい”を心掛けています。

栽培はオーガニック農法。収穫は手摘みと機械収穫を品種によって選別しています。使用しているリンゴは約30種のため、品種ごとの成熟度に応じて9月から11月にかけて収穫。野生酵母で発酵。りんご本来の旨味を残すため、濾過は優しく行います。 アルコール:4・9%・残糖:4.4g・ガス圧:3.5barの辛口。 リンゴの美味しさがストレートに伝わります。豚肉料理・点心・カレーなどと好相性。

りんごの美味しさをストレートに感じます。フルーティーかつ辛口の味わいは食中にも楽しめます。

今回は世界中で愛されているリンゴのお酒「シードル」についてご紹介しました。

アルコール度数は、中には高いものもありますが2〜3%程度の低いものも多いので、
あまりお酒を飲まない方も気軽に飲めるのが魅力のひとつですよね。

これから少しずつ暖かくなり、キリッと冷やしたシードルが美味しい季節になります。
毎日飲んでも飽きないほどバリエーションに富んだシードル、ぜひ一度試してみてください。

佐藤

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地方都市在住 下戸のソムリエ。 お酒はあまり飲めないが、お酒が持つ歴史や雰囲気が好きで20歳からバーで勤務。 中年になりさらにお酒が飲めなくなったが日々勉強...

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