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酒類の分類と日本とEUの酒税法の違いって?

ワインの基礎知識

①発泡性酒類、ビール・発泡酒

②醸造酒とは穀物(米、麦など)、ぶどうなどを麹や微生物を活用してアルコール発酵させたもの。

③蒸留酒とは、醸造酒における原料を発酵させたものを蒸留して造りだしたもの。

④混成酒とは、製造方法として、醸造酒や蒸留酒を原料として果実や香草、スパイスなどを混ぜたり、浸出させたりして造りだしたものが混成酒(リキュール)

ソムリエ教本では酒税法上の酒類分類に分けられていますが、シードルやシャンパン、レッチーナはどの分類?日本の酒税法とEUでの分類の違いと共に酒類分類について掘り下げてみましょう。

4つの酒類の分類の定義

日本のお酒については酒税法という法律で取り決めがされています。事実上、お酒の定義はこの法律のみです。アルコール度数1%以上は原則酒類という扱いです。そのためみりんも法律上はお酒の扱いです。なお90%を超える産業用のものはアルコール事業法で取り決めされているので、アルコール消毒液は対象外です。

①発泡性酒類、ビール・発泡酒は、「ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(ビールおよび発泡酒以外の酒類のうちアルコール分が10度未満で発泡性を有するもの)」と定義されています。

②醸造酒は、「清酒、果実酒、その他の醸造酒」のことで、穀物や果実をアルコール発酵させたお酒のことです。もっと具体的に言えば日本酒やワインのことです。言葉の意味における醸造酒とは、ビール類も含むので注意が必要です。醸造酒は一般的なお酒の話か、酒税の話かでその範囲が変わります。

③蒸留酒は「連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、 スピリッツ」と定義されています。醸造酒を蒸留したお酒です。諸外国ではアルコール度数の規定が厳格に設けられていますが、焼酎以外は特にありません。

④混成酒は「合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒」のことです。言葉の表現を変えれば、上記の①、②、③のどれにも該当しないものと言ってもいいかもしれません。ここで注目すべきは甘未果実酒が混成酒のカテゴリーに入っていることです。シェリーやポートなどの酒精強化ワインは、日本の法律上はワインとは分類自体が異なるということです。

このお酒はどの分類?

このように一般的な赤ワインや白ワイン、そして少しややこしいですが、酒精強化ワインは酒税法を文字通り読めば簡単に分類できそうです。しかしヨーロッパではブドウ100%のシンプルなお酒ばかりではありません。シードルやシャンパン、そしてレッチーナなどいろんなワインがあるのです。

シードルはリンゴ100%のお酒で、ほとんどワインと同じ製法です。国によって呼び方が違い、イギリスではサイダーと呼びます。フランスのシードルはノルマンディーとブルターニュが有名で、ワインと同様、AOCで保護されています。一方日本では、発泡性のものは「その他の発泡性酒類」に、非発泡性は「果実酒」に分類されます。果実酒扱いは納得できますが、その他の発泡性酒類はビール類と同じカテゴリー内なので、誤解される可能性も否めません。

シャンパンの定義についてはワインをご存じの方には特に不要だと思います。簡単にまとめると、シャンパーニュ地方内にて、指定のブドウ品種を使用して瓶内二次発酵をし、規定の熟成期間を守ったものがシャンパンと名乗れます。言うまでもありませが、クレマンやドイツのゼクト、スペインのカバとは法的にも区別されます。しかし日本では「果実酒」の扱い。裏ラベルの輸入元表記には「果実酒(発泡性)」と表記されます。

レッチーナとは古代からギリシャで造られる、松脂のフレーヴァーのついた白ワイン。ワインの世界ではフレーヴァードワインに分類され、法律上同じ造り方をしてもギリシャ以外ではレッチーナとは名乗れません。しかし日本では酒精強化ワイン同様、「甘未果実酒」の扱いです。なお甘未とありますが、シェリーのフィノのように必ずしも甘口ということではないので、ややこしい表現でもあります。

日本とEUの酒税法の違いについて

EUでもお酒に関する法律はあります。しかし各国の法律より先にEUとしての法律で規制され、それから各国の法律が適用されます。いくつかのEU全体の法令を総称して一般的にはEUワイン法と呼ばれます。域内のブランドと生産者の雇用を守るためのもので、捕糖や補酸からボトルのサイズまで細かく決められています。

酒税に関してはEU全体で均一ではなく、各国の法律に委ねられています。どの国にとっても酒税は貴重な財源なので、当然と言えば当然の話です。EUワイン法を順守していれば、税率は自由に決められますが、世論や政治状況の影響を受けるのはどこも同じです。

日本とEUのいくつかのワインに関する税金を比較してみましょう。まず日本ではワインは1ℓあたり90円です。注目すべきは、定率ではなく定額です。つまり500円のワインも10万円のワインもフルボトルで同じ67.5円の税金です。低価格ワインを生産するメーカーにとっては相当の企業努力をしない限り大きな負担ですが、高級ワインメーカーにとってはあってないような金額です。庶民のために安いワインを造るのは損ともいえそうです。

甘未果実酒に分類されるフレーヴァードワインや酒精強化ワインは1ℓあたり120円とスティルワインよりも高額。しかもこれはアルコール度数13%未満が前提で、1%上がるごとに税金も10円上がります。例えば同じシェリーでも15%のフィノと19%のオロロソでは40円も違います。とはいえ、高アルコールの酒精強化ワインの小売価格が決して安くはないため、あまり気にする必要もないかもしれません。

2016年のデータですが、フランスはワインの税金が安く、1ℓあたりなんと0.0372ユーロ、1ユーロ≒140日本円と計算して4.76円です。為替相場は多少上下するとしても、日本とは20倍近くの差があります。スパークリングワインは0.0923ユーロですが、もともとが低いため日本人から見れば大差ありません。

EUで最も人口が多いドイツは実はワイン消費量の多い国でもあります。ワインの酒税はなんと0ユーロ、つまり課税なし。イタリアやスペインも同様に課税なしで、いくつかのヨーロッパ諸国も同様です。ただしスパークリングワインには課税されたり、アルコール度数によって変わることもあります。

同じEU圏内でもアイルランドは1ℓ当たり4.2484ユーロ、アルコール度数が15%を超えると6.1645ユーロ。単純にフルボトルの日本円換算で446円ほどかかります。これですと、ワンコインボトルは事実上無理です。他にもデンマークで1.4768ユーロ、エストニアで0.8467ユーロ。ワイン主要生産国以外では高い税金がかかる傾向にあります。

まとめ

日本のビール類増税議論は政治問題の一つであり、しばしばヨーロッパのビールの税金の安さと比較されがちです。ドイツに行くとビールの安さには驚きます。その一方でワインの酒税はあまり話題になりませんでした。まだ日本人の日常的な飲み物ではないからでしょう。日常的な嗜好品となるためには低価格化は必須条件であり、1ℓあたり80円が障害となっているともいえそうです。南欧では安いワインだと3ユーロ以下で売られています。

同じヨーロッパでも生産国かどうかでワインの酒税が大きく異なり、EU全体での酒税に関する統一した見解はありません。それ以外にも宗教を歴史的背景にしたアルコールに対する考えの違いもあります。カトリックではワインはキリスト教とは切っても切れない関係でした。プロテスタントではそもそも労働を美徳とし、宗派にもよりますが、禁酒を推奨していました。近年では公衆衛生的な観点から、飲酒過多を防止するために、高い税率を課している国もあります。北欧が特にそうですが、南欧諸国でもそうした声が強くなりつつあります。

日本もEU諸国も金額に差はあるものの、基本的に定額であることに変わりはありません。消費税や住民税が基本的には定率である意味平等であるのに対して、ワインが高額になればなるほどその内訳の酒税は低い割合となっています。ワインは嗜好品(ワイン愛好家にとっては日用必需品ですが)であることを考えると、高級ワインを飲む人にはもっと税負担をしていただいてもいいのではないかと思われます。

日本ではお酒の増税の話となると、ほとんどビールと発泡酒といわゆる新ジャンルに集中しがちですが、酒税法で分類されている通り、たくさんのお酒があります。政府の財源、生産者の利益、消費者の支出の3つの視点だけでなく、社会環境、歴史、健康など多くの背景を基に、どの酒類にどの程度税金を課すのか、議論がもっと広い範囲でされることが望まれます。

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