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Vol 5 アルザス、シャンパーニュ

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この回では、アルザス・ロレーヌ地方・シャンパーニュ地方の歴史や気候風土、各地区の特徴等について解説します。

目次
1.シャンパーニュ地方
2.シャンパーニュ地方の4大ブドウ栽培地とシャンパーニュの種類
3.シャンパーニュの甘辛度表示
4.シャンパーニュの生産者の登録業態とその略号
5.シャンパーニュの醸造方法
6.アルザス・ロレーヌ地方

シャンパーニュ地方

フランスワインにおいて最も重要な発泡性ワインの産地と言われるシャンパーニュ地方は、首都パリから約140㎞東に位置しています。寒冷な気候と白亜質の土壌で育まれる発泡性ワインは、他の土地では真似のできない特徴を持っています。 ←冒頭からこちらへ移動しました

シャンパーニュ地方でA.O.C.に認定されているブドウ畑はおよそ34,000haで、マルヌ、オーブ、エーヌ、セーヌ・エ・マルヌ、オート・マルヌの5県に広がっています。ブドウ畑のの内の7割はマルヌ県が、次いで2割はオーブ県が占めており、他3県に属するブドウ畑はごく小さくなっています。約15,000軒の栽培農家が耕作する一軒あたりの平均栽培面積は2.5haに満たないため、大半の農家は直接、または協同組合を通してメゾンと呼ばれるおよそ400の大手生産者にブドウを供給しています。メゾンが生産するシャンパーニュの出荷量が全体の7割を占め、協同組合やレコルタンと呼ばれる栽培農家の生産したシャンパーニュの出荷量は3割に留まっています。

歴代のフランス国王はランスの大聖堂で戴冠式を挙行し、この大聖堂は1991年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。また、「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」が、2015年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

シャンパーニュ地方の歴史


シャンパーニュ地方にブドウ栽培がもたらされたのは、古代ローマ人によるもので4世紀頃と考えられています。中世になると修道士によって畑が広げられ、マルヌ川を利用して各地にワインが出荷されました。中世までは非発泡性の赤ワインを生産していましたが、地理的に近いブルゴーニュ地方の赤ワインと比べると質が低く、やがて黒ブドウを白ワインのように仕込むヴァン・グリが主流になっていきました。

発泡性ワインのシャンパーニュは偶発的に英国で誕生したと考えられており、1663年に英国の詩人サミュエル・バトラーが「ヒューディブラス」に発泡性シャンパーニュについて記しています。
発泡性のシャンパーニュが商業化されるのは、1729年に最初のメゾンであるルイナールがランスに創設されて以降です。それまでは樽詰めワインのみ流通が認められ、瓶内二次発酵が前提のシャンパーニュの商業化が事実上不可でしたが、前年の1728年に国王ルイ15世がガラス瓶詰めのワインの流通を許可したためです。その後、醸造法のさまざまな改良を試みられながら、英国やロシア、アメリカなどに輸出され、発泡性ワインがシャンパーニュ地方の一大産業に発展していきます。

1908年、最初にシャンパーニュ地方の境界が引かれましたが、オーブ県が含まれなかったため大きな紛争に発展し、紆余曲折を経て、1927年にオーブ県も含めたシャンパーニュ地方の境界線が確定されました。

シャンパーニュ地方の気候風土


フランス国内のブドウ栽培地としてほぼ北限にあるシャンパーニュ地方の気候は、年間平均気温が11度と冷涼で、大陸性気候と海洋性気候が混じり合っています。日照時間は年間平均1,680時間、年間降水量は平均700mmです。

マルヌ県のブドウ畑の多くは白亜質です。白亜は多孔質で保水性が高いため、乾燥した夏でもブドウの根を潤すだけの豊富な水分を維持しています。一方、オーブ県のブドウ畑は泥灰質土壌で粘土の含有量が多いですが、同じオーブ県のトロワの西にあるモングーは白亜質土壌です。

シャンパーニュ地方の経済とワイン生産量


シャンパーニュ地方は、多くの河川が交差していることから12~13世紀には水運の利便性が高く大市が開催されていました。今日、農業が占める割合は大きく、ブドウのほかに大麦や小麦、ビーツの栽培がさかんです。さらに林業や牧畜業に従事する人口も多いです。2018年の統計では、シャンパーニュ地方全体のワイン出荷本数は301,875,000本で、そのほぼ半量が輸出されています。日本は英国と米国に次ぐ世界第3位のシャンパーニュ輸入国です。

2016年度の関税総局の統計では、シャンパーニュ地方5県のワイン生産量は1,930,813hℓで、そのうちA.O.C.ワイン生産量は1,929,148hLです。

主要なブドウ品種は白ブドウのChardonnayシャルドネ、黒ブドウのPinot Noirピノ・ノワールとMeunierムニエです。この主要3品種のうちピノ・ノワールがシャンパーニュ地方全体の栽培面積の39%を占めており、次いでムニエが33%、シャルドネが28%という比率になっています。

ワイン生産量や主要ブドウ品種をしっかり押さえておきましょう。

ブルゴーニュ地方の郷土料理と食材


Biscuit Rose de Reims(カイガラムシから抽出したカルミン酸で色づけしたピンク色でサクサクのお菓子)やAndouilette(トロワ名物の豚の内蔵の腸詰)、Chaource(牛乳、白カビ)やLangres(牛乳、ウォッシュ、上面にくぼみがある)などのA.O.P.チーズがシャンパーニュワインとの相性がいい郷土料理として知られています。

ブルゴーニュ地方の主要なA.O.C.ワイン


Champagneシャンパーニュ発泡白、発泡ロゼ
Coteaux Champenoisコトー・シャンブノワ赤、白、ロゼ
Rosé des Riceysロゼ・デ・リセイロゼ(ピノ・ノワールのみ)

シャンパーニュ地方の4大ブドウ栽培地とシャンパーニュの種類

シャンパーニュ地方のグラン・クリュは名称と栽培位置を地図でしっかり覚えておきましょう。

《教本参照》

4大ブドウ栽培地


モンターニュ・ド・ランス地区:ランスとエペルネの間に位置する森に覆われた小高い丘の栽培地区です。ピノ・ノワールの栽培が盛んですが、東端の2カ村、ヴィレール・マルムリー、トレパイユではシャルドネが大部分を占めています。ヴェルズネーやヴェルジーなどの北向きのグラン・クリュではエレガントで引き締まったピノ・ノワールが、アンボネーやブージーなどの南向きのグラン・クリュでは力強くボディのしっかりとしたピノ・ノワールが生産されます

ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区:マルヌ川の両岸に広がる栽培地区です。谷のために遅霜のリスクが高く、遅霜に強いムニエが主に栽培されています。銘醸地として名高いアイやマルイユ・シュール・アイではピノ・ノワールの栽培が主流です。また、ドン・ペリニヨンが過ごしたオーヴィレール村があります。

コート・デ・ブラン地区:エペルネの南に連なる丘陵地の東向きまたは南東向きの斜面の栽培地です。「白い丘」の意味で、ほぼシャルドネが栽培されています。南部のヴェルテュには粘土質土壌が見られ、10%近くをピノ・ノワールが占めています。

コート・デ・バール地区:南部のオーブ県に位置する栽培地区です。かつては除外されていましたが、1927年に正式にシャンパーニュ地方の一部として認められ、現在はピノ・ノワールの供給地としてなくてはならない存在となっています。

シャンパーニュの種類


これらのブドウ栽培地で醸造されるシャンパーニュの種類についても押さえておきましょう。

・ノンヴィンテージ(英 Non Vintage 仏 Non Millésimé)
各メゾンの主力アイテムです。シャンパーニュ地方は気候が厳しく毎年一定のワイン品質を保つことが難しいため、過去に収穫し取り置いたワイン(リザーヴワイン)とその年のワインをブレンドし、品質の安定化を計ると共にメゾンのスタイルを打ち出しています。複数の収穫年のワインをブレンドするため、ノンヴィンテージ=収穫年無表示となります。二次発酵のための瓶詰めから最低15カ月間は出荷不可となっており、瓶詰めから澱抜きまでは最低12カ月間の瓶内熟成期間を取ることが義務付けられています。

・ヴィンテージ(英 Vintage 仏 Millésimé
優良年や特徴的な年につくられる単一収穫年の製品で、二次発酵のための瓶詰めから最低36カ月間は出荷不可となっています。

・プレステージキュヴェ(英Prestage Cuvée 仏 Cuvée Prestige)
各メゾンのフラグシップ商品に該当します。ヴィンテージの中から特に秀逸な収穫年が選ばれ、グラン・クリュやプルミエ・クリュなどの高品質のベースワインを厳選してブレンド、または反対に、特定の小さな区画のブドウのみを使って醸造されます。特に法的な規定はないものの、通常のヴィンテージより長い熟成期間を取るものが多く、10年以上熟成させたものも少なくありません。

・ロゼ(英仏 Rosé)
濃淡の違いこそあるもののピンク色に色付けされた製品です。黒ブドウを直接圧搾する、黒ブドウの果皮を一定期間果汁に漬け込むマセラシオンまたはセニエ、白ワインに適量の赤ワインを混ぜるアッサンブラージュ(ブレンド)のいずれかの製法によります。

・ブラン・ド・ブラン(仏 Blanc de Blancs)
白ブドウのみでつくられたシャンパーニュです。原則としてシャルドネ100%ですが、ごく稀に希少品種が用いられることもあります。

・ブラン・ド・ノワール(仏 Blanc de Noirs)
黒ブドウのみで造られた無色のシャンパーニュです。ムニエ100%もあり得ますが、一般的にはピノ・ノワール100%です。

シャンパーニュの甘辛度表示

シャンパーニュをはじめ多くの発泡性ワインは、澱抜き後に糖分添加(ドザージュ)を行って味わいを調整します。その表示と残糖度の数値を暗記しておきましょう。

ラベル表示              残糖度の値

Doux ドゥー50g/ℓ以上
Demi-Sec ドゥミ・セック32~50g/ℓ
Sec セック17~32g/ℓ
Extra Dry エクストラ・ドライ12~17g/ℓ
Brut ブリュット12g/ℓ未満
Extra Brut エクストラ・ブリュット0~6g/ℓ

※残糖3g/ℓ以下、または全く糖分添加していないものには、Brut Nature、Pas Dosé、Dosage Zéroの表示も認められている。

シャンパーニュの生産者の登録業態とその略号

シャンパーニュの生産者は、業態に応じてCIVC(シャンパーニュ委員会)に登録されており、ラベルにその略号(アルファベット2文字)が記載されます。
頻出問題ですのでしっかり暗記しておくことが大切です。

NM  Négociant-Manipulant
ネゴシアン・マニピュラン
原料のブドウを他者から購入する生産者。いわゆるメゾン。自社畑を保有することもある。
RM  Récoltant-Manipulant
レコルタン・マニピュラン
自社畑で収穫したブドウのみで自ら醸造する栽培農家。
CM  Coopérative de Manipulation
コーペラティヴ・マニピュラシオン
加盟する栽培農家のブドウで、醸造から販売まで行う生産者協同組合。
RC  Récoltant-Coopérateur
レコルタン・コーペラトゥール
協同組合にブドウを持ち込み、醸造を委託、相当量のシャンパーニュを買い取り、自社銘柄で販売する栽培農家。
SR  Société de Récoltants
ソシエテ・ド・レコルタン
一族が所有する畑で収穫されたブドウを用いて、醸造、販売する栽培農家。
ND  Négociant-Distributeur
ネゴシアン・ディストリビュトゥール
完成したシャンパーニュを購入し、自社ブランドのラベルを貼って販売する流通業者。
MA  Marque d’Acheteur
マルク・ダシュトゥール
スーパーやレストランなどのプライベートラベルが貼られたシャンパーニュ。

シャンパーニュの醸造方法

シャンパーニュ地方の主要なA.O.C.ワインであるシャンパーニュについては、醸造方法の順番や内容を頭に入れておく必要があります。スティルワインにはない工程は頻出です。ポイントをまとめましたので、しっかり目を通しておきましょう。

収穫:(英 Harvest ハーヴェスト 仏 Vendange ヴァンダンジュ)


シャンパーニュ地方では、房の状態での収穫が義務付けられているため、機械での収穫が不可となり、事実上手摘みに限られます。地方の全てのブドウを収穫するために、毎年延べ12万人もの収穫人員を必要とします。

圧搾:(英 Pressing プレッシング 仏 Pressurage プレスュラージュ)


収穫されたブドウは圧搾場に運ばれて搾汁されます。圧搾は通常クリュごと、品種ごとに行われ、4,000㎏のブドウから2,550ℓの搾汁が許可されています。最初の2,050ℓはCuvéeキュヴェと呼ばれ、酸が豊富でピュアな果汁であり、長期間の熟成に耐え得ます。次の500ℓはTailleタイユと呼ばれ、熟成には向かないものの酸が少なくフルーティです。

果汁清澄:(英 Settling セットリング 仏 Débourbage デブルバージュ)


圧搾によって得た果汁をタンクに入れて12~24時間静置し、果汁に含まれた果皮の欠けらや種子などの不純物を沈殿させます。その後、果汁を発酵タンクに移します。

アルコール発酵:(英 Alcohol Fermentationアルコール・ファーメンテーション 仏Fermentation Alcooliqueフェルマンタシオン・アルコリック)


清澄後の果汁をステンレスタンクや木樽に移し、アルコール発酵(一次発酵)が行われます。

マロラクティック発酵:(英 Malolactic Fermentation マロラクティック・ファーメンテーション 仏 Fermentation Malolactique フェルマンタシオン・マロラクティック)


アルコール発酵の後、任意でマロラクティック発酵を行います。新鮮味を残すために回避する生産者もいます。

調合:(英 Blending ブレンディング 仏 Assemblage アッサンブラージュ)


品種やクリュが異なるワインを組み合わせます。ノンヴィンテージの場合は過去の取り置きワイン(リザーヴワイン 英 Reserve Wine、仏 Vin de Résereve)を加え、品質の安定化とスタイルの普遍化を図ります。

瓶詰め:(英 Bottling ボトリング 仏 Tirageティラージュ)


調合済みのワインにLiqueur de Tirageリキュール・ド・ティラージュ(ワイン、酵母、糖の混合液)を加えて瓶詰めします。摂氏20度で6気圧のガスを得る場合、24g/ℓの糖分が必要です。瓶詰めは収穫翌年の1月1日以降に行われます。

瓶内二次発酵:(英 Second Fermentation in Bottle セカンド・ファーメンテーション・イン・ボトル 仏 Deuxième Fermentation en Bouteilleドゥージエーム・フェルマンタシオン・アン・ブテイユ


瓶詰めは王冠での密栓が大半ですが、コルクと留め金を使用する場合もあります。リキュール・ド・ティラージュにより瓶内で再び発酵が起き、炭酸ガスが発生し、ワインに溶け込みます。24g/ℓの糖なら6気圧のガス圧を得ると同時に、アルコール度数が1.2%上昇します。発酵工程後のアルコール度数は13%を超えてはなりません。

瓶内熟成;(英 Maturation on lees マチュレーション・オン・リーズ 仏Maturation sur liesマチュラシオン・シェール・リー)


二次発酵後のボトルを水平にして、暗く涼しい熟成庫に保管します。ノンヴィンテージで15カ月以上、ヴィンテージで36カ月以上の熟成期間が定められていますが、多くの生産者が規定以上の熟成期間をとっています。二次発酵で生じた澱(役目を終えた酵母)が自己消化を起こしてワインの中に溶け込み、ワインはまろやかになり、複雑な香りを得られます。

動瓶;(英 Riddling リドリング 仏 Remuage ルミュアージュ)


熟成後、瓶内に残った澱を取り除くために行います。Pupitreピューピートルという木板にボトルを刺し、毎日1/8または1/4ずつ左右に瓶を回転させて徐々に傾斜をつけ、最終的に倒立させることで、澱を瓶口に集めます。現在はGyropalette ジャイロパレットという機械がその役目を担っています。

澱抜き;(英 Disgorgement ディスゴージメント 仏 Dégoregementデゴルジュマン)


動瓶によって瓶口に集まった澱を取り除くため、倒立したボトルの瓶口をマイナス27℃の溶液に浸して澱ごと凍らせ、王冠を抜栓し、瓶内のガス圧で凍った澱の塊を飛び出させます。これらの作業は機械化されている工程ですが、今なお手作業にこだわる小さな生産者も存在する他、コルクと留め金によって密栓されたシャンパーニュの場合は手作業が不可避となります。

糖分調整;(英仏 Dosageドザージュ)


最終的な甘味調整のため、Liqueur d’expéditionリキュール・デクスペディシオンまたはLiqueur de Dosageリキュール・ド・ドサージュと呼ばれる液体(加糖したリザーヴワインなど)を、澱抜き後のシャンパーニュに添加します。残糖量によって甘辛度をラベルに表示します。。

打栓;(英 Corking 仏 Bouchageブシャージュ)


澱抜きとリキュール添加の後、速やかにコルクを打ち込み、金属製の止め板と針金を組み合わせたMuseletミュズレで固定します。糖分調整のリキュールがなじむまで十分寝かせて出荷します。

《教本参照》

アルザス・ロレーヌ地方

アルザス地方


フランス北東部の地方で、ライン川を挟んでドイツと国境を接しています。アルザス地方は、農産物、鉄や石炭などを産出する豊かな土地のため、ドイツとの間でしばしば領有権が争われてきました。
神聖ローマ帝国による長い支配の後、17世紀から20世紀にかけてフランス領の時代とドイツ領の時代とが交錯したアルザス地方は、第二次世界大戦が終結した1945年にフランス領に復帰し、現在に至ります。

このような歴史的背景から、ワインにおいてもドイツの文化的影響を強く受けており、ブドウ品種、瓶型、ラベル上の品種名表示など、フランスの他のワイン産地とは異なる強い独自性を誇ります。街並みは木骨組み漆喰固めの家が連なり、食文化も多分にドイツ的です。

アルザス地方の歴史


アルザス地方には古代ローマ時代にはすでにブドウ畑があったと考えられていますが、ブドウ栽培について明文化されているのは9世紀頃です。普仏戦争でドイツ領になった際には、ドイツにおける最大のワイン産地として質よりも量が求められ、安価なブレンドワインの供給地となりました。

19世紀末にウドンコ病とフィロキセラの被害に遭った後、病害に強い品種を育てるのを優先した結果、上質なワインを産する山の斜面の畑は見捨てられたものの、第一次世界大戦後、フランスに復帰して斜面への植え付けが再開されました。1962年から1976年にかけて、4つのA.O.C.ワインが制定されています。

アルザス地方の気候風土


アルザス地方のブドウ畑は、ヴォ―ジュ山脈とライン川に挟まれたエリアに伸びており、北のヴィセンブールから南のタン(厳密にはその南のラインバック)まで170㎞、幅1.5~3kmの帯状に広がっています。ヴォ―ジュ山脈が西からの湿った風を遮断することで、フランスでも特に降雨量が少ない産地となっており、またフェーン現象による暖かく乾燥した大陸性気候で、同緯度の地域と比べ年間平均気温が1.5度高くなっています。

アルザス地方の土壌は花崗岩や片麻岩、シスト(結晶片岩)、火山性堆積岩、砂岩、石灰質など実に多様であり、一つの村に4、5種類の土壌が見られるといいます。

アルザス地方の経済とワイン生産量


鉄鉱石や石炭が多く産出されるアルザス地方は、古くから鉱工業で栄えてきました。有名自動車メーカーの工場や医療健康分野の産業クラスターなども存在していることから、一人あたりのGDPはパリを中心とするイル・ド・フランス地域圏に次ぐ規模です。

2016年の関税総局の統計では、アルザス地方のワイン生産量は1,185,892hℓで、そのうちA.O.C.ワイン生産量は1,184,074hℓです。ブドウ栽培面積は15,531haで、そのほぼすべてをA.O.C.ワインが占めます。

主要なブドウ品種は白ブドウのRieslingリースリング、Pinot Blancピノ・ブラン、シSylvanerルヴァネール、Pinot Grisピノ・グリ、Gewürztraminerゲヴュルツトラミネール、Muscatミュスカ、黒ブドウのPinot Noirピノ・ノワールです。

アルザス地方の郷土料理と食材


Choucroute(乳酸発酵させた塩漬けキャベツにハム、ソーセージ、ジャガイモなどを添える)やBaeckeoffe(肉と野菜の白ワイン蒸し煮)、A.O.P.チーズのMunster(牛乳、ウォッシュチーズ)などはアルザス地方のワインと相性がいい郷土料理や食材として知られています。

アルザス地方の主要なA.O.C.ワイン


アルザス地方のA.O.C.ワインは、特にグラン・クリュを中心にしっかり覚えておきたいところです。

AlsaceアルザスまたはVin d’Alsaceヴァン・ダルザス(赤、白、ロゼ)は、1945年の行政命令で既に産地呼称は認められていましたが、他の産地よりもINAOによる制定が遅れ、1962年に正式に認められました。

多くの場合、単一品種から醸造され、ラベル上には品種名が表記されますが、AuxerroisオーセロワとPinot Blancピノ・ブランをアッサンブラージュした場合は、ラベルにPinot Blancと名乗る事が可能です。
一定の条件を満たすと13の地理的名称を付記したり、リュー・デイ(区画名)を付記したりする事ができます。また、複数の白品種を混醸またはアッサンブラージュしたワインに「Edelzwickerエデルツヴィッケール」と表記することができます。高貴品種を50%以上使用したアッサンブラージュは「Gentilジャンティ」と併記可能ですが、混醸は認められていません。

また、一定の条件を満たした甘口ワインには、「Vendanges  Tardivesヴァンダンジュ・タルディーヴ」(遅摘みワイン)や「Sélection de Grains Noblesセレクシオン・ド・グラン・ノーブル」(粒選り摘み貴腐ワイン)と表記ができ、ブドウ品種は上質指定4品種に限られています。

アルザス地方において認められているAlsace Grand Cruアルザス・グラン・クリュ(白)は、現在51です。使用が認められている品種は、リースリング、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリ、ミュスカの4品種ですが、Altenberg de Bergheimアルテンベルグ・ド・ベルガイム、Zotenbergゾッツェンベルグ、Kaefferkopfケフェルコップフの3つのグラン・クリュは例外でそれ以外にも使用可能品種があります。

発泡性ワインのA.O.C.として1976年に認定されたCrémant d’Alsaceクレマン・ダルザス(発泡白、発泡ロゼ)は、6種類の認定品種があり、フランス国内で最も消費されるクレマンです。

アルザス地方の問題では特にグラン・クリュに関しての出題率が高いため、地図と名称をセットにして覚えておきましょう。

《教本参照》

ロレーヌ地方


ロレーヌ地方はアルザスの西に隣接し、現在はグラン・テスト地域圏に属しています。

主要なA O.C.ワインは、Côtes de Toulコート・ド・トゥール(赤、白、グリ)とMoselleモーゼル(赤、白、ロゼ)があります。
Côtes de Toulの主要品種は、ガメイ、ピノ・ノワール、オーセロワです。特にガメイとピノ・ノワールの2種を必ずブレンドして造られるグリワイン(色調の淡いロゼ)で知られています。
Moselleは、2011年にV.D.Q.S.から昇格したA.O.C.で、オーセロワを主体とした白の他、ピノ・ノワールのみから造られる赤、ピノ・ノワール主体のロゼが生産されています。ピノ・グリとミュラー・トゥルガウをそれぞれ単独で用いた白には、その品種名を表記する事が可能です。

河野ゆみこ

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ことばワークス代表。  建築インテリア・ライフスタイル・起業経営・地域情報などのテーマを中心に、紙媒体・WEB媒体の各種コンテンツや電子書籍原稿の執筆、取材...

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