Vol .1 合格のための勉強法【2022年8月改定】

レストランなどで、お客様の好みに合わせてワインをはじめとした飲料の中から適切な銘柄を提案・サービスする専門職であるのがソムリエです。飲食店のプロフェッショナルとしてより専門性を高めたいならぜひ取得しておきたい資格です。そして、ソムリエに匹敵する知識を有していることを認めてくれるのがワインエキスパート資格です。
この記事では、ソムリエ・ワインエキスパート資格の試験(以下ソムリエ)概要と、合格するための勉強法について紹介します。
目次
1.ソムリエ試験の概要
2.ソムリエ試験の勉強法
3.合格までにかかる必要なものとその費用
4.一次・二次・三次試験にどう立ち向かうか~各試験の勉強方法について~
5.ソムリエ試験に合格するために必要な勉強時間
6.ソムリエ試験に確実に合格するための工夫
まとめ
1.ソムリエ試験の概要

ソムリエ資格を取ってみたいと考えている人は、合格するために対策を立てる必要があります。そのため、ソムリエ試験がどのような試験なのかを事前に知っておくことが大切です。ソムリエ試験の概要についてまとめました。
ソムリエ試験とは
レストランでワインの販売や提供を担当するのがソムリエです。フランスやイタリアなどのヨーロッパではレストランの花形として認知され、日本でも華やかなイメージがありますが、実際にはワインを中心としたアルコール飲料に関する幅広い知識と確かなテイスティング技術が求められます。
そんなソムリエを公式に認定してくれるのが、ソムリエ試験です。民間資格のため認定団体が複数あり、独自に資格を設定しています。
もっとも有名なのは一般社団法人日本ソムリエ協会のソムリエ資格です。ワインをはじめとしたアルコール飲料のプロを育てるために毎年開催されています。この記事では日本ソムリエ協会主催の試験内容、とりわけ一次試験突破の為に必要なことについて触れます。
ソムリエ試験の試験内容
ソムリエ試験は、一次試験から三次試験まであります。(※ワインエキスパートは2次まで)
一次試験は筆記試験で、CBT方式にて行われます。試験時間は70分で、ワインの名前や産地、製造方法などが問われます。
二次試験はテイスティング試験です。ワインと、ウイスキーやブランデーなどワイン以外のアルコール飲料もテイスティングして香りや味に対して評価します。試験時間はテイスティング40分、論述20分(論述は3次試験扱い)の計1時間です。
三次試験はサービス実技試験です。ワインの抜栓とデカンタージュ(ワインをボトルからデカンタに移し替える作業)を行います。
ソムリエ資格を認定されるために、三次試験の合格者を対象に書類審査があります。書類審査まで合格してはじめてソムリエの資格が与えられます。
ソムリエ試験の開催日時と場所
ソムリエ試験の開催時期と試験会場は次の通りです。
開催時期 | 試験会場 | |
一次試験 | 毎年7月~8月 | 全国47都道府県内の指定会場 |
二次試験 | 毎年10月 | 全国16ヶ所の指定会場 |
三次試験 | 毎年11月 | 全国16ヶ所の指定会場 |
一次試験の会場は、受験者が事前にWEB予約を行い選ぶことができます。
ソムリエ試験の受験資格
ソムリエ試験の受験資格は、一次試験基準日時点で満20歳以上であることが条件です。さらに、ワインおよびワイン以外のアルコール飲料を提供する飲食店において、3年以上のサービス経験があることと、一時試験基準日時点で従事している人が対象です。
日本ソムリエ協会に登録している場合は、会員歴が2年以上、飲食店でのサービス経験が2年以上であることも条件になります。
ソムリエ試験の合格率
ソムリエ試験の合格率は、一次試験から三次試験までを総合すると直近3年間で24~30%で推移しています。2016年から難易度が上がり、一次試験から三次試験までストレートで合格する人は以前に比べて減少しています。ストレート合格の為にはしっかりとした試験対策が必要になります。
2.ソムリエ試験に合格するための3つの取り組み方法【メリット・デメリットは?】

ソムリエの資格取得には、まず一次試験を突破しなければいけません。一次試験が突破できれば合格率は一気に高まります。自分に合った勉強法を選ぶために、主な勉強法を3つ紹介します。
①独学で学ぶ
費用が大幅にかからない分、合格率にも影響が出てしまいます。
◆独学のメリットは?◆
自由な時間に好きな所で、すき間時間を使ったりして自分のペースで勉強を勧められる事。仕事の都合でスケジュールを合わせるのが難しい状況でも、独自で計画を立てることが可能です。そして自分の苦手な個所を集中的に勉強の内容を組むなどして、納得のいく勉強ができるとも言えます。また、とにかく費用を抑えたい方には独学を選ぶでしょう。
ただし、計画的に進めないと挫折しやすく、モチベーションを維持するのは難点です。仕事が忙しく、内容が予想以上に難しくてやる気が起きないといった状況に陥りやすいからです。「絶対合格する!」という強い自覚と勉強への意欲を持って臨むことが必要です。
そして2次試験対策も自力で行わなければなりません。テイスティングに関してはワインバーやワインショップなどの専門スタッフの方にアドバイスをもらいましょう。
◆独学のデメリットは?◆
独学では自己管理がちゃんとできるのか?スケジュール通りに実行できるのか?また合格に向けてのモチベーションが下がらぬよう、強い精神力が必要です。そして費用が安く済む分、試験に関する最新の情報を得にくく、不利になる事もあり合格の可能性は低くなり狭き門となってしまうかもしれません。
そして二次試験のテイスティング・三次試験のサービス実技に関してはある程度の形式が決められています。これらをワインバーや知り合いを頼りにするなど、自力で行わなければなりません。
② ワインスクールに通い、対面で受講する
独学では心もとない、かといって計画通りに進めるのは難しい!という場合はワインスクールに通学するという方法があります。ワインスクールとはワインについて深く勉強できる講義が受けられる場所で、ソムリエ資格取得に特化したカリキュラムになっているコースがあります。決められた日程に通学することで、ソムリエ資格を取得するための勉強に集中できることです。
そして知識ゼロからストレートでの合格を目指すことを不安に思う方はワインスクールがおすすめです。なぜなら二次試験対策では座学とセットで必要なテイスティング能力も同時に鍛えることができ、三次試験ではサービス実技の講座もあるからです。
ここでワインスクールに通う事のメリット・デメリットをご紹介します。
◆通学のメリットは?◆
決められた時間に勉強することで、半ば強制的に勉強時間を確保できます。また同じ志の仲間と顔を合わせて一緒に勉強ができ、ワインを通じてクラスメートと交流ができます。
◆通学のデメリットは?◆
通学時間がロスタイム。場所によっては通学時間や交通費がかかります。また授業内容はカリキュラム通りどんどん進んでしまうので自分のペースで勉強ができない可能性もあります。
③ オンラインでワインスクール講座を受講する
かつてはワイン教室へ通学するのが主でしたが、最近ではリモートの日常化に伴い、オンラインでのワイン講座が大変人気を呼んでいます。ここで、オンラインにて受講するメリット・デメリットをご紹介します。
◆オンライン講座のメリットは?◆
まず何といっても全国各地から受講することができ、重たい教本を持ってわざわざ足を運ぶ面倒な事がありません。さらにオンライン講座ではほとんどのワインスクールが繰り返し過去の講座を視聴できます。復習・聞き取れなかった個所・都合で受講できなかったとしても何度も視聴することができます。
そして質問もできますので、対面よりも些細な事でも気軽に聞けてしまうかもしれません。
◆オンライン講座のデメリットは?◆
通学とは反対に受講生と顔を合わせて話す機会がなく、受講者との交流が難しい事です。
人とかかわることが面倒な方にはメリットと言えてしまいますが・・・。
3.合格までにかかる必要なものとその費用

合格するためにはワインスクールに通うなら受講料、教本や参考書・対策問題集、テイスティング用のワインや国際規格テイスティンググラス、三次試験対策に至ってはソムリエナイフ・パニエなど、完璧な対策を求めれば求めるほど費用はかさんでしまいます。ここではワインスクールに通う事を前提に必要なものとワインスクールの受講料について見てみましょう。
ソムリエ試験の勉強に必要な費用
ソムリエ試験の勉強を始めると決めたら、いくつか準備が必要です。特に独学で合格を目指す方は最低限必要なものとして、以下の2つを準備しておきましょう。
■受験料■
受験料には日本ソムリエ協会の「会員」と「一般」で異なります。ここでは2022年の「一般」としてお知らせします。(税込)
一次試験:32,291円(一次試験~三次試験込み)
二次試験から受験:15,501円
三次試験から受験:7,100円
■ソムリエ教本■
ソムリエ試験の主催者である一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している、ソムリエ試験のテキストです。
ワインの産地や歴史、ブドウの品種や品質分類からテイスティング、管理や販売についてまでもが網羅され、この教本をもとに出題される傾向にあるので受験者は必携ですが、受験を申し込むと教本が届き、受験料に含まれています。
■参考書や対策問題集■
ソムリエ試験に関連した参考書や、予想問題集などの対策問題集は数多く市販されています。専門学校に通学するなら専用テキストや定期的なテストなどでフォローしてもらえますが、独学で学習する場合はこれらの書籍を自分で準備しなければいけません。価格は2,000円前後のものが多く、ご自分に合った問題集を。
参考書は教本とは異なり、試験に頻出する項目や傾向などを重点的に教えてくれます。
対策問題集は最近の傾向や、間違えやすい点をまとめてくれています。
ネットで購入するよりも、書店の店頭で実際に手に取って中を確認し使いやすいと思える書籍を選びましょう。
【その他】通学とオンラインにかかる受講料について
ワインスクールに入学するとなると、通学とオンラインではどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
【通学受講の場合】
大手のワインスクールで見ると大まかに入会金5000円程度、全15~20回で150,000円~となっています。少人数制のクラスとなると300,000円程度かかります。
その他専用の教本代が別途かかる場合もあります。そして交通費も忘れてはいけません。
【オンライン受講の場合】
基礎講座から始まり、本講義・テイスティング、サービス実技など細かく分かれているため単発5000円~自分で選択することができます。
価格もテーマ・回数によって様々ですが、オンラインの方がお手頃です。
パソコンを開けば気軽に受講できる上、お手頃価格なのはありがたい内容ですね。
▼参考記事▼
以上「独学」「ワインスクール 通学受講」「ワインスクール オンライン受講」3つの方法がありましたが、
それぞれのメリット・デメリットを考えて自分にあった勉強方法を決め、合格に向けて準備しましょう。
4. 一次・二次・三次試験にどう立ち向かうか~各試験の勉強方法について~

独学でも専門学校やワインスクールへの通学でも、ソムリエ試験に合格するためには自らの努力が不可欠です。合格の可能性が少しでも高くなるような勉強の進め方をすることで、憧れのソムリエ資格を手にする確率は高まります。
試験本番までの勉強の進め方として、意識しておきたいポイントをまとめました。
試験に関する情報を集める
ソムリエ試験の勉強を始めるにあたって、いきなり参考書を開いて勉強し始めるのは非効率です。先ほども触れたように、ソムリエ試験の出題範囲は非常に広く、出題傾向を把握することはとても重要なのです。
まずは主催者から開示されているソムリエ試験の概要をチェックして、試験日までにどれくらい時間があるのか、どういった試験が行われるのかなどの情報を集めましょう。試験について詳細を把握できていれば、どういった勉強が必要なのかが分かりますから、勉強のスケジュールや内容の計画を立てやすくなります。
本番までの勉強スケジュールを立てる
試験に関する情報がある程度集まったら、試験本番までの勉強計画をスケジューリングしていきます。試験までの日数が1年なのか半年なのか3ヶ月なのかによって勉強のしかたも当然変わりますので、教本にひと通り目を通す期間や実際に問題集に取り組む期間などを大まかにでも決めるといいでしょう。
実際に問題に取り組んでみると、得意分野と苦手分野が分かってきます。1点でも多く正解するためには、得意分野での失点を抑えるのと同時に、苦手分野の問題の正解率を高めることが必要です。
仕事が忙しい、体調不良になったなどの事態になっても慌てないよう、余裕を持った計画を立てたいものです。
ワインに触れる
一次試験は筆記試験のため、テキストや問題集だけで勉強を進めがちです。しかし、一次試験を合格してからテイスティングの勉強を始めても間に合いません。毎日少しずつでもワインを口にして、味わいについても勉強しましょう。
ただし、ワインにあまり詳しくない場合は、テキストや問題集の文章だけでは理解しにくい内容が少なくありません。
勉強していて文章を読んでいるだけではなかなか頭に入ってこないと感じたら、実際にレストランに行ってワインを注文したり、ワインショップで店員に質問して説明を受けたりしてみましょう。実際のワインに触れることで、テキストや問題集で説明されている内容が腑に落ちて、理解しやすくなります。
模擬試験を受ける
試験日が迫ってくると、それまで勉強してきたことがどれだけ身についているのかを知るための客観的な材料が欲しいものです。問題集やテストなどでいい点数が取れていても、本番で同じように正答できるかは分かりません。
模擬試験は、制限時間があり、本番に近い環境で取り組めます。問題のレベルを把握できるのに加えて時間配分の仕方を練習できる上、点が取れている分野と取れていない分野の確認もできるため、本番までにカバーすべき箇所がはっきりして対策を取りやすくなります。
ヴィノテラスワインスクールではこういった実践にも対応できるよう、模試試験を行っています。
5.ソムリエ試験に合格するために必要な勉強時間

ソムリエ試験対策の勉強時間は、仕事や家庭の状況、もともと持っているワインやアルコール飲料に関する知識、サービス経験の長さなどによって個人差が大きいです。ただし、勉強時間が長いほど合格する可能性が高くなるのも事実です。
7月~8月の一次試験の勉強を同じ年の1月から始めた場合、1日1時間確保すると210時間前後、1日2時間確保すると420時間は勉強できます。ソムリエ試験の出題範囲がカバーできるか、問題集に取り組めるかなどを計算してみましょう。足りないと感じたら、1日あたりの勉強時間を増やしたり勉強の開始時期を繰り上げたりする工夫が必要です。
一般的には、ソムリエ試験に知識ゼロから合格するために必要な勉強時間は400時間前後と言われています。どのように400時間を確保するか考えて勉強計画を立てましょう。
6.ソムリエ試験に確実に合格するための工夫

憧れのソムリエになるための試験は、簡単に合格できるものではありません。そのため、働きながら合格を目指すには効率的に勉強する工夫が必要です。ソムリエ試験に確実に合格するために実行したい工夫を紹介します。
まず教本に目を通し概要を把握する
ソムリエ教本は、ソムリエ試験唯一の公式のテキストです。読み込む作業は不可欠です。ただし、掲載されている内容をすべて暗記するのは時間的にも難しいですから、まず教本に掲載されている内容をざっくりと把握するようにしましょう。
教本に目を通して概要を把握しておけば、どれくらいのボリュームの勉強が必要なのかが分かりますし、勉強のスケジュールが立てやすくなり、学習漏れもなくなります。
問題を解いて得意分野と苦手分野を把握する
ソムリエ試験用の問題集は書店で数多く販売されています。実際に数問解いてみて、理解しやすいと感じた問題集を1冊だけ購入して繰り返し使いましょう。問題集によって構成や解説の長短など違いがあるため、いろんな問題集に手を出すとかえって効率が悪くなってしまいます。
さらに同じ問題集を繰り返し解くメリットは、得意分野と苦手分野を把握しやすいことです。何度も同じ問題を解くことでどの分野が苦手か自覚ができ、復習すべき問題が分かり、得点率を上げることができます。
問題集で出題傾向を分析する
これまでにも触れてきたように、ソムリエ試験の出題傾向を分析することは合格率を上げる上で重要なことのひとつです。ソムリエ試験を受験するとワインの知識が深まりますが、受験の最大の目的は資格を取ることですから、問題傾向を把握して、該当分野の問題を集中的に勉強することが大切です。
もちろんこれまでの出題頻度が低い分野が出される可能性はあります。しかし、もし出題されたとしても数問であり、合格を左右するような数ではありません。優先順位を下げても大きな影響はありません。
自分に合った復習方法を繰り返す
人によって適した勉強方法は異なります。教本や問題集を使うのが理解しやすい人もいれば、動画教材で視覚的に理解する方が暗記しやすいという人もいます。実際に勉強に取り組んでみて内容がすっと頭に入ってきやすい方法を選んで復習すると、暗記や理解が早いでしょう。
まとめ
~あなたはどう勉強する?~
ソムリエに合格する事は思った以上に難関です。しっかりと計画を立て、その年の出題傾向など情報収集も重要になっています。
当ヴィノテラスでは、時間も費用も無駄なく合格へ導けるよう、昨年度よりオンラインに特化した試験対策講座を開講しておりますので是非ご参照くださいませ。
▼ヴィノテラスオンラインワインスクール▼
ワインの専門家であるソムリエは、レストランでも花形の存在であり憧れを集める仕事です。ワインに関する知識や経験を高めるきっかけになるだけでなく、有利な転職ができる可能性も広がります。
ソムリエ試験の対策をしっかり練って限られた時間を使い効率的な勉強を進め合格を手に入れるために、この記事を参考に最適な勉強方法をみいだせる鍵となればと思います。

