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Vol.7 ローヌ渓谷地方、ラングドック・ルーション地方、南西地方

ワインの基礎知識

ローヌ川流域に広がるローヌ渓谷地方、フランス南部から南西部に位置するラングドック・ルーション地方とボルドーに隣接する生産地の南西地方は、その地方により様々な気候風土があり、その地に適したワインづくりが行われています。栽培されているブドウ品種とA.O.C.ワインをしっかり押さえた上で、ワイン生産量や気候についても暗記していくことが大切です。

この回では、ローヌ渓谷地方、ラングドック・ルーション地方、南西地方の主要なA.O.C.ワイン、そして歴史や気候風土について解説します。

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目次
1.ローヌ渓谷地方
2.ローヌ渓谷地方の各地区の特徴と主要なA.O.C.ワイン
3.ラングドック・ルーション地方
4.ラングドック・ルーション地方各地区の特徴と主要なA.O.C.ワイン
5.南西地方
6.南西地方各地区の特徴と主要なA.O.C.ワイン

ローヌ渓谷地方

ローヌ渓谷地方は、アルプス山脈からレマン湖を経由して地中海まで下るローヌ川の流域に広がり、北はヴィエンヌから南はニームまで、南北250㎞にわたる産地です。北部ローヌは急峻な渓谷を、南部ローヌはなだらかな丘陵地や平地を擁しており、気候条件や土壌構成は両者で異なります。A.O.C.ワインの生産量の75%は赤、16%がロゼ、白は9%という割合で、A.O.C.ワインの生産量はボルドーに次いでフランス2位の産地です。

ローヌ渓谷地方の歴史

紀元1世紀以降にローヌ渓谷北部までブドウ畑が広がったものの、ローマ帝国崩壊の打撃を受け、ローヌ渓谷のワインは一時販路を失ったが、リヨンという消費地によって耐えました。その後、中世に入ってからカトリックの修道院によってブドウ栽培が再開されました。14世紀、ローマ法皇のアヴィニョン捕囚により、法皇クレメンス5世がその座所をアヴィニョンに定め、次のヨハネス22世が法皇の夏の居城として、シャトーヌフ・デュ・パプを建造させました。彼は栽培家を呼び寄せ、シャトーヌフ周囲にブドウを植えさせたと言われています。

1933年に、シャトーヌフ・デュ・パプの生産者であるル・ロワ男爵がA.O.C.の原型を作り、2年後のI.N.A.O.設立へと発展しました。1936年に最初のA.O.C.を取得しました。A.O.C.の数はラングドック地方からの編入などを経て増えましたが、近年はコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュから独立するA.O.C.が増えています。

ローヌ渓谷地方の気候風土

ローヌ渓谷地方のうち、ヴィエンヌからヴァランスまでの北部は穏やかな半大陸性気候で、夏暑く冬寒い気候です。一方、モンテリマール以南の南部は地中海性気候の影響が強く、夏と冬は乾燥し春と秋は降雨量が多いです。

特徴的なのは、ローヌ渓谷を北から南に吹き抜ける強風・ミストラルが吹くことです。1年で120~160日間吹くとされ、風速30m/秒を超えることもあります。

土壌は、北部のローヌ川右岸は花崗岩が多く、最北端のコート・ロティでは、片岩、片麻岩の土壌も見られます。左岸のエルミタージュやクローズ・エルミタージュは石灰質や泥灰土、石ころなど多様で、南部の土壌も粘土石灰質、泥灰土、砂質、ガレ・ルレと呼ばれる玉石に覆われた土地など多様です。

ローヌ渓谷地方の経済とワイン生産量・ブドウ品種

ローヌ・アルプ地域圏はリヨンを首都に持ち、パリを中心とするイル・ド・フランス地域圏に次ぐフランス第2位の経済力があります。フランス3大金融グループやルノー・トラックの本社、航空宇宙や防衛・交通システムなどの事業を行う企業の工場などがあります。2020年のデータによると、A.O.C.ワインのみでのローヌ渓谷地方のワイン生産量合計は2,710,072hℓ、ブドウ栽培面積は66,572haです。

主要なブドウ品種

白ブドウ

Viognierヴィオニエ

Marsanneマルサンヌ

Roussanneルーサンヌ

Clairetteクレレット

Grenache Blancグルナッシュ・ブラン

黒ブドウ

Syrahシラー

Grenacheグルナッシュ

Mourvèdreムールヴェードル

Cinsaultサンソー


ワイン生産量や主要なブドウ品種をしっかり覚えていきましょう。

ローヌ渓谷地方の郷土料理と食材

Nougat de Montélimar(アーモンドと蜂蜜からつくられたモンテリマール特産のヌガー)やAgneau de Sisteron(アルプ・プロヴァンサル及びドローム・プロヴァンサルで産される生後70~150日の子羊)、A.O.P.チーズのRegotte de CondrieuやPicodon(いずれも山羊乳、シェーヴル、メダル形)などがローヌ渓谷地方ワインとの相性がいい郷土料理やチーズとして知られています。

それぞれの料理の特徴も含めて覚えておきましょう。

ローヌ渓谷地方の各地区の特徴と主要なA.O.C.ワイン

ローヌ渓谷全域

主要なA.O.C.ワイン

・Côtes du Rhôneコート・デュ・ローヌ(赤、白、ロゼ)

→6件171水町村に認められた広域A.O.C.。赤はグルナッシュが30%以上(以北を除く)。ローヌ渓谷の全A.O.C.ワインの47%を占めます。

・Côtes du Rhône Villagesコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ(赤、白、ロゼ)

→4件95位町村に認められたA.O.C..特定の村で算出されるコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュのワインは、一定条件を満たしていればA.O.C.名の後に地理的名称を付記できます。

2018年4月8日の政令でSaint- Andéolサン・タンデオルが加わり、現在22の地理的名称が存在しています。教本でしっかり確認しておいてください。

北部と南部のA.O.C.を見ていく前に北部は基本ロゼがない。南部は基本すべてロゼがある。という大前提を頭に入れておきましょう。

《教本参照》

北部ローヌ

北部ローヌは単一品種ワインが主です。赤の主要品種はシラーですが、白ブドウ(ヴィオニエ/ルーサンヌ&マルサンヌ)の混植混譲が許されています。

北部ローヌはローヌ川を挟んで右岸・左岸があります。川の流れの向きに沿って上流から見ますので、地図上では逆になるので要注意です。

主要なA.O.C.ワイン

【右岸】

Côtes-Rôtieコート・ロティ(赤)

Condrieuコンドリュー(白)

Château Grilletシャトー・グリエ(白)

Saint-josephサン・ジョゼフ(赤、白)

Cornasコルナス(赤)

Saint-Pérayサン・ペレイ(白)

Saint-Péray Mousseuxサン・ぺレイ・ムスー(発砲白)

【左岸】

Hermitageエルミタージュ(赤、白、ヴァン・ド・パイユ白)

Crozes-Hermitageクローズ・エルミタージュ(赤、白)

Clairette de Die(クレレット・ド・ディー(発泡白、アンセストラル方式による微発泡白、ロゼ)

Crémant de Dieクレマン・ド・ディー(発泡白)

Coteaux de Dieコトー・ド・ディー(白)

Châtillon en Dioisシャティヨン・アン・ディオワ(赤、白、ロゼ)

南部ローヌ

南部ローヌは、グルナッシュを主としてシラー、ムールヴェードルなど多くの品種をブレンドした赤が多く見られます。生産可能色がややこしい所ですが、逆に作っていない色を覚えた方が速いかもしれません。

主要なA.O.C.ワイン

【右岸】

Côtes du Vivaraisコート・デュ・ヴィヴァレ(赤、ロゼ、白)

Duché d’Uzèsデュシェ・デュゼス(赤、白、ロゼ)

Costières de Nîmesコスティエール・ド・ニーム(赤、ロゼ、白)

Clairette de Bellegardeクレレット・ド・ベルガルド(白)

Liracリラック(赤、白、ロゼ)

Tavelタヴェル(ロゼ)、

→1936年に最も早く認められたA.O.C.の一つ。ロゼワインとしては異例と言えるほど力強く、アルコール度数も高いのが特徴です。

【左岸】

Grignan-les-Adhémarグリニャン・レ・ザデマール(赤、ロゼ、白)

Ventouxヴァントゥー(赤、ロゼ、白)

Luberonリュベロン(ロゼ、赤、白)

Châteauneuf du Papeシャトーヌフ・デュ・パプ(赤、白)

→南部ローヌが代表するA.O.C.で13品種の使用が認められていますが、比率に関する規定はありません。

Gigondasジゴンダス(赤、ロゼ)

Vacqueyrasヴァケイラス(赤、ロゼ、白)

Vinsobres(赤)

Rasteauラスト―(赤、V.D.N. 赤・ロゼ・白)→ランシオもあり

Beaumes de Veniseボーム・ド・ヴニーズ(赤)

Muscat de Beaumes de Veniseミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ(V.D.N. 赤・ロゼ・白)

Cairanneケランヌ(赤、白)

各地区の主要なA.O.C.ワインの名前とブドウ品種は、教本に一覧表としてまとめられています。それぞれじっくり暗記しておきましょう。

《教本参照》

ラングドック・ルーション地方

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ラングドック・ルーション地方は、フランス南部の地中海沿岸に広がるワイン産地です。5県のうち、ロゼール県にはほとんどブドウ畑がなく(2020年の統計でわずか12haのみ)、ガール県のA.O.C.ワインは大部分がコート・デュ・ローヌ地方に属しています。

急速にA.O.C.ワインが増えているものの、地方全体のワイン生産量の70%はI.G.P.ワインが占めており、それはフランスの全I.G.P.ワインの80%に相当します。さらにルーション地方はV.D.N.(天然甘口ワイン)の生産も多いです。

ラングドック・ルーション地方の歴史

ラングドック地方は13世紀にアルビジョワ十字軍の勝利によってフランス王国に編入され、ルーション地方は17世紀にフランス王領となりました。ブドウ栽培は紀元前2世紀頃には始まっていたとされており、かつては低廉な大量生産ワインの供給地でした。

1980年代からI.G.P.の前身であるヴァン・ド・ペイにおいて国際的なブドウ品種を用いたヴァン・ド・セパージュ(ヴァラエタルワイン)の普及に努め、次々とA.O.C.を取得しています。

ラングドック・ルーション地方の気候風土

大部分が典型的な地中海性気候のラングドック・ルーション地方は、夏は暑く冬は穏やかな気候で、雨は冬に集中して降ります。また、トラモンタンと呼ばれる乾いた冷たい風によって、ブドウ畑は過度の暑さから守られると同時に乾燥し、ブドウの病害が少ないのが特徴です。

広範囲の産地だけに土壌も多様で、砂質や石灰質、粘土質、泥灰岩、玉砂利などが混在しています。恵まれた気候のお陰で、有機栽培を実践しているブドウ畑が多く、ラングドックワイン委員会(CIVL)の統計によれば、約22,000haの面積で有機栽培が実践され、これはフランスで有機栽培をしている全ブドウ畑の3分の1、全世界の有機ブドウ畑の7%に相当します。

ラングドック・ルーション地方の経済とワイン生産量・ブドウ品種

ラングドック・ルーション地方で生産されるワインはフランス全体の生産量の40%を占め、第一次産業の柱となっています。そのほか、地中海における第二の商業港であるセートを擁していることから、造船や石油精製、天然ガスやウランの採掘も行われる一方、観光業も盛んです。2020年の関税総局のデータによると、ワイン生産量は11,549,905hℓで、そのうちA .O.Cワイン生産量が、1,484,405 hℓです。ブドウ栽培面積は197,606haで、そのうちA.O.Cワインの栽培面積が、46,177haです。

主要なブドウ品種

白ブドウ

Grenache Blancグルナッシュ・ブラン

Bourboulencブールブーラン

Piquepoulピックプール

Clairetteクレレット

Vermentinoヴェルメンティーノ

Marsanneマルサンヌ

Roussanneルーサンヌ

Chardonnayシャルドネ

Maccabeuマカブー(Macabéoマカベオ)

Muscat Blanc à Petits Grainsミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン

Muscat d’Alexandrieミュスカ・ダレクサンドリ―


黒ブドウ

Grenacheグルナッシュ

Mourvèdreムールヴェードル

Syrahシラー

Carignanカリニャン

Cinsaultサンソー

Morrastelモラステル(Morastell(=Mourvèdre)とは別品種)

Lledoner Pelutルドネール・ペリュ(Lladpner Pelutとも。スペインのGarnacha Peludaと同一)

ワイン生産量と主要なブドウ品種については漏れなく暗記しておきましょう。

ラングドック・ルーション地方の郷土料理と食材

Brandade de Morue(タラとジャガイモのピュレ)やCassoulet(白いんげん豆の煮込み。鴨のコンフィや豚足など、地方により加える具財は異なる)、A.O.P.チーズのPélardonなどがラングドック・ルーション地方産ワインとの相性がいい郷土料理やチーズとして知られています。

それぞれの料理の特徴も含めて覚えておきましょう。

ラングドック・ルーション地方各地区の特徴と主要なA.O.C.ワイン

ラングドック全域

主要なA.O.C.

Languedocラングドック(白、赤、ロゼ)
→ラングドック地方のほぼ全域を含むA.O.C.です。ロゼと赤は新酒の場合ラベルにPrimeurプリムールまたはNouveauヌーヴォーの記載ができます。また以下の11の地理的名称が一定条件で認められています。

Languedoc Cabrièresラングドック・カブリエール(赤、ロゼ)

→ラングドック・ガブリエールのみ赤、ロゼが生産可能です。

Languedoc Grés de Montpellierラングドック・グレ・ド・モンペリエ(赤)

Languedoc La Méjanelleラングドック・ラ・メジャネル(赤)

Languedoc Montpeyrouxラングドック・モンペイルー(赤)

Languedoc Pézenasラングドック・ペズナス(赤)

Languedoc Quatourzeラングドック・カトゥルズ(赤)

Languedoc Saint-Christolラングドック・サン・クリストル(赤)

Languedoc Saint-Drézéryラングドック・サン・ドレゼリー(赤)

Languedoc Saint-Georges-d’Orquesラングドック・サン・ジョルジュ・ドルク(赤)

Languedoc Saint-Saturninラングドック・サン・サテュルナン(赤)

Languedoc Sommièresラングドック・サン・ソミエール(赤)

エロー県

主要なA.O.C.

Pic-Saint-Loupピック・サン・ルー(赤、ロゼ)

→2017年にラングドックA.O.C.地理的名称付きのラングドックから独立しました。

Terrasses du Larzacテラス・デュ・ラルザック(赤)

→2014年にラングドックA.O.C.地理的名称付きのラングドックから独立しました。

lairette du Languedocクレレット・デュ・ラングドック(白、V.D.L.、ランシオ)

→クレレット100%を使用できます。

Picpoul de Pinetピックプール・ド・ピネ(白)

→ピックプール100%を使用できます。

Faugèresフォジェール(白、赤、ロゼ)

Saint-Chinianサン・シニアン(白、赤、ロゼ)

Saint-Chinian Berlouサン・シニアン・ベルルー(赤)

Saint-Chinian Roquebrunサン・シニアン・ロックブラン(赤)

Muscat de Lunelミュスカ・ド・リュネル(V.D.N.白)

→ミュスカ・ ブラン・ ア ・プティ・ グラン100%の天然甘口ワインです。
新酒は、Muscat de Noelミュスカドノエルして付記することも可能です。

Muscat de Mirevalミュスカ・ド・ミルヴァル(V.D.N.白)

→ミュスカ・ ブラン・ ア ・プティ・ グラン100%の天然甘口ワインです。
Muscat de Frontignanミュスカ・ド・フロンティニャン(V.D.N.白、V.D.L.白)

ミュスカ・ ブラン・ ア ・プティ・ グラン100%の天然甘口ワインです。
新酒は、Muscat de Noelミュスカドノエルして付記することも可能です。
Muscat de Saint-Jean-de-Minervoisミュスカ・ド・サン・ジャン・ド・ミネルヴォワ(V.D.N.白)

ミュスカ・ ブラン・ ア ・プティ・ グラン100%の天然甘口ワインです。
新酒は、Muscat de Noelミュスカドノエルして付記することも可能です。

エロー県とオード県にまたがるA.O.C.

主要なA.O.C.

Minervoisミネルヴォワ(白、赤、ロゼ)

→1985年に認定された A.O.C.です。

Minervois – La Livinièreミネルヴォワ・リヴィニエール(赤)

→1999年にミネルヴォワから独立した A.O.C.です。

オード県

主要なA.O.C.

La Clapeラ・クラ―プ(白、赤)

→2015年に A.O.C. ラングドック・ラ・クラープから独立したA.O.C.です。

Corbièresコルビエール(白、赤、ロゼ)

→ナルボンヌからカルカッソンヌまで広大な地域に広がり1985年にオード県の87カ村に認められたA .O.Cです。

Corbières Boutenacコルビエール・プートナック(赤)

→2005年にコルビエールから独立した上位 A.O.C.です。

Fitouフィトゥー(赤)

→1948年に A.O.Cを取得したラングドックで古い歴史をもつワイン産地で、ラングドック最南端の A.O.C.です。

abardès カバルデス(赤、ロゼ)

Malepèreマルペール(赤、ロゼ)

Limouxリムー(赤、白、発泡白)

Limoux méthode ancestraleリムー・メトード・アンセストラル(発泡白)

→モーザック100%でアンセストラル方式で造る弱発泡性ワインです。

Limoux Blanquette de Limouxリムー・ブランケット・ド・リムー(発泡白)

→主要品種としてモーザックを90%使用して瓶内二次発酵で造り、瓶内熟成期間は9ヶ月以上です。

Crémant de Limouxクレマン・ド・リムー(発泡白、発泡ロゼ、シャルドネ主体)

→主要品種はシャルドネで瓶内二次発酵による発泡性ワインです。瓶内熟成期間は9ヶ月以上です。

ラングドックワイン委員会がプロモーション活動の一環としてラングドックのA.O.C.を3段階に階層化した独自のシステム(Languedoc、Grand Vin du Languedoc、Cru du Languedoもあります。グラン・ヴァンとクリュについてしっかり暗記しておきましょう。

《教本参照》

ピレネー・オリエンタル県(=ルーション地方)

主要なA.O.C.

Côtes du Roussillonコート・デュ・ルーション(白、赤、ロゼ)

→新酒の場合ラベルにPrimeurプリムール、またはNouveauヌーヴォーの表記ができます。

Côtes du Roussillon Villagesコート・デュ・ルーション・ヴィラージュ(赤)

→それぞれの条件を満たした場合、以下5つの地理的名称の付記が認められます。

Côtes du Roussillon Villages Caramanyコート・デュ・ルーション・ヴィラージュ・カラマニ(赤)

Côtes du Roussillon Villages Latour-de-Franceコート・デュ・ルーション・ヴィラージュ・ラトゥール・ド・フランス(赤)

Côtes du Roussillon Villages Lesquerdeコート・デュ・ルーション・ヴィラージュ・レスケルド(赤)

Côtes du Roussillon Villages Tautavelコート・デュ・ルーション・ヴィラージュ・タヴェル(赤)

Côtes du Roussillon Villages Les Aspresコート・デュ・ルーション・ヴィラージュ・レ・ザスプル(赤)

Mauryモーリー(赤、V.D.N.ガーネット、V.D.N.レンガ色、V.D.N.琥珀色、V.D.N.白)

→1936年にA .O .C.制定と同時に認定された天然甘口ワインの産地です。

V .D.N.には主に黒ブドウから造られるGrenatグルナとTuileテュイレ(主要品種はグルナッシュ)、白ブドウのみから造られるAmbreアンブレとBlancブラン(主要品種はグルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、マカブー、トゥルバ)があります。

5年以上熟成させたアンブレ・テュイレはHorsdageオールダージュと表記が可能で、ランシオ香の生じたアンブレ・テュイレにはRancioランシオの表記が可能です。

Banyulsバニュルス(V.D.N.赤、V.D.N.ロゼ、V.D.N.白)

→1936年にA .O .C.制定と同時に認定された天然甘口ワインの産地です。赤の場合はグルナッシュを50%以上使用しなければいけません。

5年以上熟成させたアンブレやトラディショネルにはHorsdageオールダージュ表記が可能で、ランシオ香の生じたアンブレやトラディショネルにはRancioランシオの表記が可能です。

Banyuls Grand Cruバニュルス・グラン・クリュ(V.D.N.赤)

→バニュルスの上位のA .O .C.として1962年に認定されました。

グルナッシュ75%以上の使用でオーク樽で30ヶ月以上の熟成が必須です。
5年以上の熟成でHorsdageオールダージュ、ランシオ香が生じたものはRancioランシオと表記が可能です。

Collioureコリウール(白、赤、ロゼ)

→A .O.C.バニュルスの認定地域で造られる、酒精強化されない白、赤、ロゼワインに対し1971年に認められたA .O.C.です。

Rivesaltesリヴザルト(V.D.N.琥珀色、V.D.N.ガーネット、V.D.N.ロゼ、V.D.N.レンガ色)

→ルーションのかなり広い地域に認められた天然甘口ワインのA .O.C.です。Ambreアンブレ、Grenatグルナ、Roseロゼ、Tuileテュレの表記があり、グルナはグルナッシュ100%使用、他の3つは白品種を主体とします。

Muscat de Rivesaltesミュスカ・ド・リヴザルト(V.D.N.白)

→A .O .C.リヴザルトと同一の地域において、ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランとミュスカ・ダレクサンドリーを用いて造られる白の天然甘口ワインです。

Grand Roussillonグラン・ルーション(V.D.N.赤、V.D.N.ロゼ、V.D.N.白)

→リヴザルトと同一エリアにおいて造られる天然甘口ワインのA.O.C.で、熟成期間が3年のものです(収穫から3年目の9月1日まで熟成します)。

主要なI.G.P.ワインについても教本にまとめられていますので、ひとつずつ名称と生産可能色をセットで覚えましょう。

《教本参照》

南西地方

中央高地からピレネー山脈のふもとまで広がる南西地方は、13県にまたがまたがり、旧地方区分のアキテーヌ地方とミディ・ピレネー地方を合わせ、そこからボルドー地方を除いたフランス南西部の広大な地域です。土壌的にも気候的にも多様なテロワールに加え、120とも言われるローカル品種の宝庫で、生産されるワインも実に多様です。A.O.C.は29、I.G.P.は14あります。

南西地方の歴史

フランスの他の地域同様、南西地方も古代ローマ人の手によってブドウ栽培がもたらされました。ムーア人やバイキングによるたびたびの襲来でブドウ畑は荒れますが、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路にあたることから12世紀以降、教会や修道院が増え、ブドウ畑が拡大していきます。

19世紀末にはフィロキセラとベト病の被害で壊滅的な被害を受け、生産性の高いブドウ品種を植えたことから安価な日常ワインの産地と化してしまいました。しかし、1956年の霜害を受け、志の高い栽培農家が量から質への転換を図った結果、続々とA.O.C.を取得し現在に至ります。

南西地方の気候風土

西部は穏やかな海洋性気候で、気温的には温暖でやや湿度が高く、春は雨が多く降り、秋は好天に恵まれて乾燥します。北西部は大陸性気候の影響を受け、南に下りるにつれ地中海性気候が強まります。ピレネー山脈から吹く暑く乾燥した風によってフェーン現象が起き、特に秋になると3日に1度は吹くこの風が、ブドウを最終的な成熟に導きます。

地質的には、ブドウ畑の大部分がアキテーヌ盆地に分布する新生代第三紀の堆積土壌もしくは第四紀の沖積土壌です。周縁部は変化が大きく、複雑に地質が入り組んでいます。

南西地方の経済とワイン生産量・ブドウ品種

南西地方最大の人口を誇るトゥールーズ市は航空機産業や宇宙産業が盛んで、林業や製紙業、樹脂抽出業などの主要産業のほか、温泉が多いことから観光業も栄えています。2020年の関税総局のデータによると、ワイン生産量は3,633,650hLで、そのうちA.O.Cワイン生産量は1,122,564hLです。ブドウ栽培面積は54,950haで、そのうちA.O.Cワイン栽培面積は26,237ha です。

主要なブドウ品種

白ブドウ

Sémillonセミヨン

Sauvignonソーヴィニヨン

Muscadelleミュスカデル

Mauzacモーザック

Len de l’elラン・ド・レル(Loin de l’oeilロワン・ド・ルイユ)

Petit Mansengプティ・マンサン

Gros Mansengグロ・マンサン

Baroqueバロック

黒ブドウ

Cabernet Francカベルネ・フラン

Malbecマルベック(Côtコット)

Négretteネグレット

Tannatタナ

Prunelarプリュヌラール

Durasデュラス

Fer Servadouフェール・セルヴァドゥ

ワイン生産量や栽培面積、主要なブドウ品種はきちんと暗記しておきましょう。

南西地方の郷土料理と食材

Confit de Canard(鴨のコンフィ)、Foie Gras(フォアグラ)、Truffe(トリュフ)と高級食材の宝庫であり、Roquefort(ロックフォールチーズ。青カビの羊乳)やOssau-iraty(オッソーイラティ。バスク地方及びベアルン産の羊乳チーズ)といったチーズも有名です。

南西地方各地区の特徴と主要なA.O.C.ワイン

ドルドーニュ川流域、ベルジュラック地区

主要なA.O.C.

Bergeracベルジュラック(辛口白、赤、ロゼ)

Côtes de Bergeracコート・ド・ベルジュラック(甘口白、赤)

→ベルジュラックともにベルジュラック市を中心とするドルドーニュ県の90市町村に与えられたA .O .C.です。

Pécharmantペシャルマン(赤)

→A .O.C.ベルジュラックおよびコート・ド・ベルジュラックに属する90市町村のうち、ベルジュラックとその北東に隣接する3カ村のみに与えられたA .O.C.です。

Montravelモンラヴェル(赤、辛口白)

→A .O.C.ベルジュラックおよびコート・ド・ベルジュラックの西端、ジロンド県との県境に位置する15カ村に与えられているA .O .C .です。

Côtes de Montravelコート・ド・モンラヴェル(甘口白)

Haut-Montravelオー・モンラヴェル(甘口白)

→コート・ド・モンラヴェルとオー・モンラヴェルはA .O .C.モンヴェルから東端の2カ村を除く13カ村に認められた甘口白のA .O .C.です。

Monbazillacモンバジヤック(甘口白)

→ドルドーニュ川南岸のモンバジヤック村をはじめとする5カ村に認められた甘口白のA .O.C.です。

Saussignacソーシニャック(甘口白)

→ドルドーニュ川南岸、西をジロンド県との県境に接する、ソーシニャック村など4カ村に与えられた甘口白のA .O.C.です。

Rosetteロゼット(甘口白)

→ベルジュラック市を中心とする6市町村に認められた甘口白のA .O.C.です。

Côtes de Durasコート・ド・デュラス(白、赤、ロゼ)

→デュラス村を取り囲むロット・エ・ガロンヌ県の15カ村で構成されるA .O.C.です。

ガロンヌ川流域

主要なA.O.C.

Côtes du Marmandaisコート・デュ・マルマンデ(白、赤、ロゼ)

→ガロンヌ川の両岸に広がり、ロット・エ・ガロンヌ県の27カ村に認められたA .O.C.です。

Buzetビュゼ(白、赤、ロゼ)

→ガロンヌ川左岸、ロット・エ・ガロンヌ県の27カ村に認められたA .O.C.です。

Brulhoisブリュロワ(赤、ロゼ)

Saint-Sardosサン・サルドス(赤、ロゼ)

Frontonフロントン(赤、ロゼ)

ロット川流域

主要なA.O.C.

Cahorsカオール(赤)

→主要品種はマルベック(コット)で、作付け比率、ブレンド比率ともに70%以上が義務付けられています。

Coteaux du Quercyコトー・デュ・ケルシー(赤、ロゼ)

Entraygues-le Felアントレイグ・ル・フェル(赤、ロゼ、白)

Estaingエスタン(赤、ロゼ、白)

Marcillacマルシャック(赤、ロゼ)

タルン川流域

主要なA.O.C.

Gaillacガイヤック(辛口白、赤、ロゼ、白発泡)

→ Gaillacガイヤックのうち、Méthode Ancestraleメトッド・アンセストラルと表記されるワインの認定品種はモーザックとモーザック・ローズのみで、Douxドゥーと表記されるワインは残糖量が45g/ℓ以上、Vendanges Tardivesヴァンダンジュ・タルティーヴは残糖量が100g/ℓ以上に限られます。

Gaillac Premières Côtesガイヤック・プルミエール・コート(辛口白)

Côtes de Millauコート・ド・ミヨー(赤、ロゼ、白)

ガスコーニュ&バスク地区

主要なA.O.C.

Madiranマディラン(赤)

→タナを50%以上使用します。

Pacherenc du Vic-Bilh パシュラン・デュ・ヴィク・ビル(甘口白、辛口白)

Saint Montサンモン(赤、ロゼ、白)

Tursanテュルサン(赤、ロゼ、白)

Jurançonジュランソン(辛口白、甘口白)

Béarnベアルン(赤、ロゼ、白)

Irouléguyイルレギー(赤、ロゼ、白)

→赤は主要品種のカベルネ・フラン、タナを合わせて50%以上用い、補助品種としてカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドが認められています。

Floc de Gascogneフロック・ド・ガスコーニュ(V.D.L.白、V.D.L.ロゼ)

リムーザン地区

主要なA.O.C.

Corrèzeコレーズ(赤)

Corrèze Coteaux de la Vézèreコレーズ・コトー・ド・ラ・ヴェゼール(赤、白)

Corrèze vin de pailleコレーズ・ヴァン・ド・パイユ(甘口白、甘口ロゼ)

主要なブドウ品種とA.O.C.ワインは教本の一覧表を参考にして、しっかり覚えておいてください。

《教本参照》

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