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「ヴィノテラス オンライン ライブセミナー(オンラインワイン寄席ZOOM)」へ潜入取材!(2020年6月11日開催)

ワイン寄席

お酒大好き、落語大好きのライター、弁天小僧と申します。
お酒と落語が合わさればこれ以上の楽しみはないもの、お酒と落語は、意外と寄席では一緒になりません。
お酒が禁止されているか、雰囲気的にNGの寄席、落語会も多いのです。
このたび縁あって、ヴィノテラス主催のオンラインワイン寄席(第2回)に参加させていただきました。これはオンライン会議システムのZOOMを使ったものです。
楽しくワインをいただきつつのオンライン落語、その様子をレポートいたします。

目次
1.ワイン講座
2.金原亭小駒「ざるや」
3.金原亭馬治「片棒」
4.オンライン寄席には魅力がいっぱい

ワイン講座

最初に、金原亭馬生門下の二ツ目さん、馬太郎さんが諸注意のために高座に出てきました。
ZOOMの使い方についてのレクチャーをします。
今回は、オンラインで落語を聴く側の、画面オンもありということです。
送り手にも、聴き手の顔が届くわけです。これに応じ多くの方が画面をオンにされていました。ただしマイクはオフにしないといけません。
さてプログラムは、ヴィノテラス店長でありソムリエの、ダニエル佐々木氏のワイン講座から始まります。
この日の二人の演者、小駒さんと馬治師匠をイメージしたワインが、私の手元にも届いています。

ヴァン・ド・サヴォワ・アビーム(白ワイン)


まず金原亭小駒さんをイメージした白ワイン、「ヴァン・ド・サヴォワ・アビーム」のご紹介から。声が透き通って艶のある、小駒さんの個性に見立てています。
産地サヴォワは、アルプスの麓です。
噺家さんのスタイルも、ワインも千差万別です。フレッシュなスパークリングにも、フルボディの赤ワインにもそれぞれの魅力がありますね。
この小駒さんを見立てたワインは、若々しく酸が立ち、余韻がスーッと抜けていく清涼感があるとのこと。なるほど。
「酸の立った」というのは一見、若々しさと相反する特性ということでしょうか。ですが、落語もワインも、どこにも引っ掛からずすんなり流れていってしまうものより、どこかに明確な個性を感じて味わいたいですね。

商品名:ヴァン・ド・サヴォワ・アビーム
生産者名:フィリップ・エ・シルヴァン・ラヴィエ

ジャケール種のワインは国外で見ることは希で、地元民が最も消費しています。白い花や柑橘を思わせる香り、透明感溢れるミネラル感が特徴で、チーズ料理は勿論、川魚、山菜などの「山の幸」全般によく合います。

カデ・ド・ラ・ベギュード・IGP・メディテラネ(赤ワイン)


続いて、金原亭馬治師匠に合わせたフルボディの赤ワイン。
南仏プロヴァンスのバンドールが産地です。
フルボディの赤ワインは、人生経験の深みがスパイスとなっている存在。
ローズマリーのような、南仏のハーブらしい香りの立つワインとのこと。日本で言うと山椒だそうです。
どっしりとした印象。重厚感を感じさせるのが、馬治師匠に見立てた理由です。
フルボディの赤ワインは、飲みやすいものではありませんから、ある程度の慣れが必要です。その分、鍛えた舌に味わいがひと味です。
落語も同様でしょう。もっとも、馬治師匠の落語もワインも、重厚感の裏にフルーティさも隠れているのではないでしょうか。

商品名:カデ・ラ・ベギュード・IGP・メディテラネ
生産者名:ドメーヌ・ド・ラ・ベギュード

樹齢8年未満の若樹から手摘み収穫、畑と選果台での選果を行ないます。発酵後はステンレスタンクにて熟成。収量/30hl/ha 。

フレミヤン・ロゼ(ロゼ)


そして、もう1種類、ロゼの「フレミヤン・ロゼ」があります。
このワインともども、今日の華が、産地からの中継です。
このワインの主要部分を占める品種、ムールヴェードルの葡萄畑に、生産者である華やかな女性、サラ・フリッサンさんが登場。
大掛かりな機材がなくても、フランスの葡萄畑の映像をリアルタイムで視られる、いい時代になりましたね。
この日に限ってあいにくの曇り空ということですが、映像を通した南仏の広大なブドウ畑は光り輝いて見えます。
葡萄畑というと、日本の棚に吊るしたものしか知らない私からすると、低い位置に生えそろうブドウはとても新鮮に映ります。
葡萄畑の土には、多くの石がごろごろしています。
標高200メートルを超える高原は、夏でも夜は冷えます。ですがこの石が昼間の間に熱を吸収し、夜のブドウを温めてくれるとのこと。
この畑は除草剤を一切使用しておらず、それが地面のクローバーの花に現れます。
サラさんによると、ここで育ったロゼワインは、スパイシーな料理にも合うそうです。和食でいうと焼き鳥やラーメン、カレー、それからタイ料理などにも。
焼き鳥にロゼワインを合わせつつ、はるかアルプスに思いを馳せてみたいものです。
なるほど、フランスという国も改めて見ると、アルプスからピレネーの近くまで、自然も気候もさまざまなものです。
葡萄の品種もさまざまで、そこで仕上がる風味もいろいろです。
サラさんも語っていましたが、過酷な大地で生産者たちが大自然と闘いつつ、見事なワインが作られるのです。
噺家もまた、さまざまな出身地から、そして多様な経験を踏まえて集まります。最終的な生産地は、師匠のもとでしょうか。
ダニエルさんがそこまでお話したわけではないですが、そんなことを考えました。

商品名:フレミヤン・ロゼ
生産者名:シャトー・クープ・ローズ

グルナッシュ、シラーは醸しを行い色素を抽出、サンソー、ムールヴェードルはプレスされます。グルナッシュ、シラーにるよるしっかりとした骨格と、ムールヴェードルの果実味が程よく調和したワインです。

金原亭小駒「ざるや」

オンライン落語は、金原亭馬生門下のおふたりです。
最初はキャリア5年、二ツ目の金原亭小駒さんです。小駒という名前は、師匠、十一代目金原亭馬生も前座時代に名乗った名前です。
座布団を自ら持ってきて、高座に上がります。
フランスの葡萄畑から風の音が流れてきてしまいました。小駒さんすかさず、「私は江戸の風をお届けします」と見事なアドリブ。
ご本人は高座では決して語りませんが、十代目金原亭馬生の実の孫だという、落語界のサラブレッドです。
先代馬生の孫ということは、昭和の名人、古今亭志ん生の曾孫でもあります。
名人の血を引き継いでいるからといって自動的に腕がついてくるわけではありませんが、小駒さんは前座の頃からすでに達者でした。そして小駒さんの後から上がる二ツ目さんが、志ん生の曾孫だとばらすのです。
この日の演目は、「ざるや」。
大師匠であり祖父である、十代目金原亭馬生から来ている、この一門ならではのネタです。
縁起を担ぐ、おめでたい噺です。どんな言葉も、どんどん演技よく持ち上げていきます。
コロナ禍で落語界も大きく沈んだ折ですから、景気づけにこの噺を選んだのでしょうか?
景気のいい噺を調子よく語る小駒さんの跳ねっぷりが、実に楽しい一席でした。なるほど、この浮かれた部分こそ「酸味」かもしれません。
若々しい白ワインだけあって、フレッシュな芸です。
ざるやという噺は、落語らしく変わった登場人物が掛け合う小品ですが、実は「ものの言い方」を教わることのできる落語だと思います。
同じ意味を表す言葉でも、言いようによって、人を喜ばせられるわけです。
「自分は末っ子」だと言わずに、「上ばっかり7人」と言い換える、生活のちょっとした工夫です。

金原亭馬治「片棒」

トリは、若手真打の金原亭馬治師匠。真打に昇進して5年。それまでの修業が形になってくる頃です。
馬治は、師匠の十一代目金原亭馬生が、襲名前に名乗った出世名前です。
ベテランの風情、複雑な味わいを漂わせつつ、まだ若手らしい華やかさも併せ持つ馬治師匠。
鼻に抜ける言葉遣いもとても魅力的です。
フルボディのスパイシーな赤ワインになぞらえられていますが、今後年齢を重ねて、ますます腕が上がり、重厚感が増していくに違いありません。
演目はケチの噺の「片棒」です。金原亭、古今亭のお家芸のひとつ。
ケチな人は寄席に来ないので、ネタにして構わないとされています。先ほどの「ざるや」とは別の意味で縁起物といえるかもしれません。
主人公、あかにし屋ケチ兵衛さんは、ケチの限りを尽くして身代を大きくした人。ケチの落語にはよく出る名前です。
ちなみにあかにしは赤螺と書き、フタをしっかり閉じている巻貝のこと。ケチ兵衛さんにはぴったりの屋号です。
このケチの旦那と、三人の放蕩息子が、親の葬式をどう出すかというテーマについて闘います。
特に次男は、親の葬式と祭りとを勘違いしている親不孝者。ここがいちばんの見せどころでしょう。
そして三男が、贅沢の流れを真逆にして、父親譲りのケチ論をとうとうと語ってみせるのです。
オンラインでも、客の熱気を感じつつの熱演でした。

オンライン寄席には魅力がいっぱい

南仏の風と江戸の風の吹く、楽しい催しに参加させていただきました。
コロナによって思わぬ注目を浴びたオンライン寄席、そしてZOOMですが、多くの可能性があるものです。
当初は、現実の寄席が開けないのでやむを得ない存在だったかもしれませんが、ここに来て独自の価値が漂うようになりました。世界中どこからでもつながるというのも、大きなメリットです。
実際の会場に観客を入れた上での配信も登場しています。今後も形を変えつつ、オンライン落語は続くでしょう。そして、ワインのセミナーも。
冒頭に諸注意で出てきた金原亭馬太郎さんは、この日は落語はなかったのですが、若手ながら落ち着いた丁寧な芸で、じわじわ来る人です。
馬太郎さんをイメージしたワインもぜひいただきたいものです。

弁天小僧

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日頃はクレジットカード、キャッシング、カーシェア等を専門に執筆しているライターです。 落語が趣味で、週1回寄席や落語会に出向いています。

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