イタリアワインの基礎知識【ピエモンテ編】|【2020年7月30日改定】インポーター厳選!ピエモンテワイン5本
誰でも一度は聞いたことがあるイタリアワインの産地ピエモンテを分かりやすく解説。
ピエモンテの歴史と特徴、品種の個性、おすすめワインをご紹介します。
ワインを飲む人であれば、一度はピエモンテという産地を聞いたことがあると思います。
しかし聞いたことはあるけど、よく分からないという方も多いのではないかと思います。
「そもそもピエモンテって何?」
「ピエモンテでおすすめのワインを教えてほしい!」
この記事を読めばこのような疑問が全て解決します。 是非参考にしてみてください!
目次
1.ピエモンテの歴史と特徴
2.ピエモンテの主要ワイン用ブドウ品種
3.【2020年7月30日改定】インポーター厳選!ピエモンテワイン5本
ピエモンテの歴史と特徴
この項目では、ピエモンテの説明から歴史、イタリアのワイン法とピエモンテの格付けをご紹介します。
ピエモンテとは?
ピエモンテとは、イタリアの北西に位置する州の名前で、トスカーナと並んで、イタリアワインの生産地として代表的な土地です。
イタリア語でピエモンテは、「山の麓」を意味する言葉で、その名の通りアルプス山脈の麓に位置しています。
温帯・亜寒帯の大陸性気候のため季節の寒暖差が大きく、夏は暑く冬には寒さが厳しい地域です。
この気候で造られるネッビオーロ種のワインは、イタリアで一番高貴な黒ブドウと言われております。世界的にもファンが多く、タンニンが凝縮されている重厚な味わいとして知られています。
ピエモンテワインの歴史
ピエモンテの歴史はかなり古く、紀元前にまで遡ります。
新石器時代には人類は住んでいたとのことですが、繁栄が始まったのは古代ローマ領となった紀元前1世紀頃です。
当時先進的であったローマ人によってイタリアワイン文化が発展したと言われています。
そして11世紀以降サヴォイア家が徐々に勢力を伸ばし、18世紀にはピエモンテ州を統治しました。イタリア統一の機運が高まり、サヴォイア家はその運動の中心となり、1861年にイタリア王国が成立すると、ピエモンテのトリノが最初の首都となりました。
サヴォイア家を通して、慣習や食文化、ワインもフランスの影響を受けました。
以前はネッビオーロ以外のワインのクオリティは高くなかったですが、州をあげてワイン造りに注力し始めて、ピエモンテワインの質はかなり向上しました。
その結果、現在ではピエモンテで生産されるワインの80%は格付け認定されています。
イタリアワインの格付けとピエモンテ
イタリアワインの格付けの段階は、1963年に制定されたDOC法では、
D.O.C.G.
D.O.C.
I.G.T.
Vino
という4段階に分かれていました。
上に行くほど厳しい規定が設けられており、品質の良いワインとして認められたことを意味します。
しかし、2008年に改正されたEUワイン法に合わせて、イタリアワイン法も改正されました。
その結果、
D.O.P.
I.G.P.
Vino
の3段階になりました。
D.O.C.G.とD.O.C.は、まとめてD.O.P.に括られるようになりましたが、イタリアのワイン法も継続されており、ラベルの表記ではどちらで表記しても良いという事になっています。
ピエモンテ州のワインは、D.O.C.G.に9銘柄、D.O.C.に42銘柄も選定されており、どちらも他の州と比べて最も多く選定されています。
ピエモンテの主要ワイン用ブドウ品種
ピエモンテ州で栽培されている有名ブドウを4品種、特徴から味わいまでをご紹介します。
ネッビオーロ
ネッビオーロの特徴
ネッビオーロは、D.O.C.Gにも選ばれているバローロやバルバレスコにも使用されている、高貴な黒ブドウ品種として知られています。
ネッビオーロはイタリア語で「霧」を意味する「Nebbia」から名付けられています。
その理由は、秋の霧が多い時期に収穫されるからという説や、ネッビオーロの表面に果粉と呼ばれる白い粉が多く付着しており、それが霧のようだからという説などがあります。
ネッビオーロの味わい
ネッビオーロから造られるワインは、しっかりとしたタンニンとキリッとした強い酸味が特徴です。
その為、ワインが若いうちから飲むのには適さないと言われております。
しかし、長期熟成をすると渋みが穏やかになり、バランスが取れ、よくトリュフなどに例えられるような高貴なワインになります。
バローロやバルバレスコは、ネッビオーロの単一品種で造られています。
バルベーラ
バルベーラの特徴
赤ワイン用の品種であり、イタリアでは2番目に多く栽培されているブドウ品種です。
様々な目的によって使いやすく、大量生産できるので、高級ワインよりも比較的安価なワインに使われていることが多いです。
生産性が高い品種の為、ピエモンテ州ではブドウ栽培の約半数がバルベーラだと言われています。
バルベーラの味わい
バルベーラから造られるワインは、軽快に飲みやすいものから、しっかりと力強いものまで、幅広い味わいを楽しめます。
ただ、全体的に共通している味わいの特徴が、少なめのタンニンと酸味の強さです。
また、どのバルベーラもブラックベリーによく例えられるような果実味が特徴です。
モスカート・ビアンコ
モスカート・ビアンコの特徴
モスカート・ビアンコは、白ワイン用のブドウ品種です。
原産はフランスですが、イタリアのピエモンテ州でも多く栽培されています。
モスカートとは、英語でマスカットの意味で、フランス語ではミュスカと呼ばれていますが、基本的に全て同一品種です。
モスカート・ビアンコの味わい
モスカート・ビアンコから造られるワインの特徴は、甘くてアロマティックな香りであることです。
モスカート・ビアンコは以下の3つのタイプでワインが造られます。
・スティルワイン
甘口から辛口までアロマが非常に強く、アルコール度数が低いワインになります。
・発泡性ワイン
有名なワインにアスティがあり、甘口の微発泡性ワインになります。
・パッシート
干しブドウにしてから醸造するので、非常に甘いデザートワインになります。
ドルチェット
ドルチェットの特徴
赤ワイン用品種の黒ブドウです。
ドルチェットはイタリア語で「甘い」という意味ですが、「甘い」が語源ではないようです。
一説として、ドルチェットが栽培されていた丘に由来して名付けられたと言われています。
現在はデイリーワインによく使われています。
ドルチェットの味わい
ドルチェットから造られるワインは、柔らかいタンニンと控えめな酸味が特徴です。
果実味が豊かで酸味の少ないフルーティーなものが多いので、赤ワインが苦手な方でも飲みやすい味わいのワインになることが多いです。
【2020年7月30日改定】インポーター厳選!ピエモンテワイン5本
世界の様々な国へ渡り、数多の生産者の中から厳選したワインを買い付けするインポーター。そんな仕入れのプロフェッショナルが、自社・他社問わずフラットな目線で選んだオススメワインをご紹介する斬新な企画。今まで試飲したワインの中から「本当に美味しい!」「心からオススメできる」と思えるワインのみをピックアップします。
平岡 雄飛
アズマコーポレーション営業/イタリアワインバイヤー
イタリアワイン専門のインポーターで勤務後、アズマコーポレーションに入社。食材のために道の駅などの産直売り場を巡り、家で料理してワインと楽しむのが趣味。38歳。
ピエモンテを代表する3つの黒ブドウ品種を同じ生産者で飲み比べる
ルチアーノ・サンドローネ / ドルチェット・ダルバ
輸入元:ジェロボーム株式会社
生産者名:ルチアーノ・サンドローネ
国名:イタリア
産地:ピエモンテ
品種:ドルチェット100%
ルチアーノ・サンドローネ / バルベーラ ダルバ
輸入元:ジェロボーム株式会社
生産者名:ルチアーノ・サンドローネ
国名:イタリア
産地:ピエモンテ
品種:バルベーラ 100%
ルチアーノ・サンドローネ / ネッビオーロ・ダルバ ヴァルマッジオーレ
輸入元:ジェロボーム株式会社
生産者名:ルチアーノ・サンドローネ
国名:イタリア
産地:ピエモンテ
品種:ネッビオーロ 100%
ルチアーノ・サンドローネの代表ワイン「バローロ・カンヌビ・ボスキス」はワイン漫画「神の雫」に掲載されたことで一般的にもとても有名になりました。実際にバローロのトップ生産者としての地位も不動のものと言っていい生産者ですが、バローロを気軽に購入することは難しいです。
そこで提案したいのが、この素晴らしい生産者の品種違いの飲み比べです。ピエモンテを代表する黒ブドウは「ネッビオーロ」、「バルベーラ」、「ドルチェット」です。一般的にドルチェットは日常的に楽しまれるワインになりますし、バルベーラはカジュアルなものから重厚なものまで幅広いスタイルのワインがあります。そして、ネッビオーロはバローロ、バルバレスコを代表するように長期熟成が可能なポテンシャルの高いワインが多いです。バローロは手がでなくても、エントリーラインであれば飲み比べ可能です!
多くの生産者がいる中で、「ルチアーノ・サンドローネである理由は?」と思われるかもしれません。バローロの生産者はモダン派、古典派などと分けられたりしますが、ルチアーノ・サンドローネが「中道」と言われているのがその理由になります。とてもバランスよくつくられるワインは、品種個性をよく表していますので、飲み比べるのにぴったりです。
甘口の微発泡ワイン 見た目もエレガントでプレゼントにもおすすめ
マッソリーノ / モスカート・ダスティ
輸入元:エノテカ株式会社
生産者名:マッソリーノ
国名:イタリア
産地:ピエモンテ
品種:モスカート 100%
このワインとの出会いはピエモンテ現地でした。ランチを食べたレストランで、食後酒として出されたのですが、あの幸福感は忘れることができません。ランチ後も仕事だったにも関わらず、席を立ちたくない感覚になるほどに幸せな時間でした。
マッソリーノはセッラルンガ・ダルバ村のバローロ生産者で、いわゆるクラシックな造り手の代表ともいえます。すべてのワインが気品に溢れ、バローロなどは少し近寄りがたい雰囲気すらあります。しかし、このモスカート・ダスティにおいては、エレガントでありながら、親しみやすい華やかな香りと味わいが印象的です。
ワインが好きになるきっかけが甘口ワインという方は多いと思いますが、このワインは初めてワインを飲む方にとてもおすすめです。特にラベルがとっても上品なので、プレゼントとして使うにも最適なアイテムです。ぜひ飲んでみてください!
まだまだマイナーだけど業界内の注目度は高い土着品種「ティモラッソ」
カシーナ・イ・カルピーニ / コッリ・トルトネージ・ティモラッソ・DOC
輸入元:アズマコーポレーション
生産者名:イ・カルピーニ
国名:イタリア
産地:ピエモンテ
品種:ティモラッソ 100%
私自身アズマコーポレーションに入社するまで「ティモラッソ」というピエモンテの土着品種について知りませんでした。しかし、初めて飲んだ時は衝撃的でした。白ワインなのに、タンニンは感じるし、酸味が強く味わいがパワフルなのです。ブラインドでだされたら、赤ワインと答えてしまうかなと思うほどです。
調べてみると、ティモラッソの生産者はまだ30生産者もいない希少な品種でした。しかしながら、ここ10年ぐらいはイタリア国内でもティモラッソは注目され、最近では「高貴品種」としての地位を確立しています。日本国内ではまだまだ認知度は低いですが、イタリアワイン好きならば絶対に押さえるべき品種です。
2019年に現地を訪れた際には、牧歌的な風景に感動しました。ワイナリーのあるトルトーナは、人工的な音が聞こえることはなく空気が澄んでいるので、何度も深呼吸したくなる場所でした。この自然環境で育つブドウは健康的であると実感することができました。生産者のパオロ氏はティモラッソのプロフェッショナルと言えます。とても珍しいティモラッソのスパークリングやオレンジワインなども手掛けているのですが、品種個性はしっかり表現されています。
このワインは赤ワインのような特徴を持っているので、合わせる料理も豚や鳥などの白身肉がおすすめです。料理も飲むのも大好きな当主パオロ氏がつくるワインなので、食事が止まらないし、ついつい飲み過ぎてしまうことが問題です(笑)<平岡 雄飛>