ワインやワインイベントの総合サイト | VINOTERAS(ヴィノテラス)

ワインやワインイベントの総合サイト
VINOTERAS(ヴィノテラス)

ルーマニアワイン特集 Vol.1(ワインの過去・現在、ブドウ品種、ワイン法)

東欧ワイン

ルーマニアワインについて、2回に分けて特集いたします。
まず初めに、ルーマニアワインの過去と現在、ブドウ品種やワイン法などを紹介いたします。

執筆 遠藤エレナ

執筆者紹介記事はこちら

ルーマニア

トランシルバニア地方地方・ビエルタンのルーテル教会

目次
1.国の概要
2.ルーマニアワインの過去と現在
3.ルーマニアのブドウ品種
4.ルーマニアのワイン法

国の概要


ルーマニアは南東ヨーロッパに位置する国で、セルビア、ハンガリー、ウクライナ、モルドバ、ブルガリアの5カ国に接しており、東は黒海に面しています。首都のブカレストにはエレガントな建築が多く「小さなパリ」とも呼ばれています。
ルーマニアという国が初めて成立したのは、ワラキア公国とモルドバ公国西部(東側のベッサラビア地方はロシア帝国に併合)が合併した1859年のことです。ワラキア公国とモルドバ公国はドナウ両公国と言われ、豊かで美しい地域として有名でした。1918年にはトランシルヴァニアとベッサラビアも加わり、大ルーマニアとなりました。また、代表的な観光地としてドラキュラ伝説で有名なトランシルヴァニア地方には中世の美しい街並みが残っています。1940年独ソ不可侵条約によりベッサラビアを含め多くの領土を無くしましたが、その後譲渡していた北部のトランシルヴァニアを取り戻し、現在のルーマニアに至っています。
1944年より共産主義時代が始まり、土地など私有財産の国有化が進みました。チャウシェスクの独裁的政権下では人々の貧困が特に深刻でした。チャウシェスク政権が倒され、2007年にEUに加盟し共産主義時代の経済的な疲弊から徐々に復活するとともに、ワイン産業においても様々な改善が行われています。
ルーマニアの面積は238,000㎢で、山と森林が3分の2を占め、残りはなだらかな丘陵地帯や平地が広がっています。フランスと同じ緯度に位置していますが、穏やかな大陸性気候が特徴で、黒海の影響を受ける地域ではより温暖な冬が見られます。収穫の時期には雨が降ることも少なく、7月の平均気温は23.5度、年間平均雨量は540mm。ブドウ栽培にとても適した土地で、東ヨーロッパでは重要なワイン生産国です。

ルーマニアワインの過去と現在


ルーマニアのワイン造りは4000年前から行われています(6000年前という説もありますが、ジャンシス・ロビンソンや他のMWなどは主に4000年前としています)。黒海沿いにあるドブロジェア地方を通じて入ってきた古代ギリシャ人の影響も強く、ダキア時代にはワイン文化が人々の生活に密着していました。ダキア語由来のワイン用語がいくつかあり、例えばstrugure(ブドウ)、butuc(ブドウの木)、ravac(※モスト) は今でもルーマニア語で使われています。
15世紀頃から、ルーマニアの中でもコトナリはワインの銘醸地として名声を広げていました。当時の公主シュテファン・チェル・マーレに任じられた修道士がコトナリで力強いワインを造っていたと言われ、17世紀頃の歴史書にもコトナリのワインの素晴らしさについてトカイワインと比較された記述があります。
1880年にはフィロキセラが発見され、更に質より量を重視したチャウシェスク政権によりルーマニアワインの品質に重大な影響をもたらされました。大量生産ワインは手頃な価格ということもあり、ソ連のみならず一部西ヨーロッパにも輸出されていました。1990年まではブドウ畑を含む全ての土地は国有で、ワイン造りも国がコントロールしていました。そのため個人の自由な意思によるワイン造りが難しかったのです。
共産主義時代の崩壊後、ワイン製造を独占していた国営の協同組合が廃止され、1991年から徐々に土地が生産者に返却されるようになりました。しかし、返却される土地が元々所有していたものより少なかったり、売買が制限されるなど、しばらくの間は混乱状況が続いていました。ようやく2000年には、返還される土地が一人当たり10haから50haまで増えました。2001年頃には約77%のブドウ畑は個人所有となり、残りはかつての協同組合が民営化された企業や研究所のものとなりました。現在ではほぼ民営です。
EUへの加盟をきっかけにワイン法が見直され、設備投資やワイン造りの改善において今でも努力が続いています。品質の良いクローンが導入されることは改善点の一つで、例えば土着品種のフェテアスカ・ネアグラの商業的なクローンが広がり始めています。さらに小規模生産者の意欲的な取り組みも活発になり、ルーマニアワインは高品質なものへとシフトしています。

※モスト ワインの仕込みの際に使う、発酵する前のブドウ果汁のこと

ルーマニアのブドウ品種


◎フェテアスカ・アルバ(Feteasca Alba)
ルーマニア語では「白い乙女」という意。モルドバ公国時代には栽培されており、ルーマニアとモルドバ両国の土着品種として知られています。黒ブドウのフェテアスカ・ネアグラとの関係性を言われていましたが無関係と判明し、またハンガリーのレアニカと同じ品種とも言われていましたが、近年この説も否定されました。ルーマニアでは現在約12,000haが栽培されています。

◎フェテアスカ・レガーラ(Feteasca Regala)
ルーマニア語では「高貴な乙女」という意。最近のDNA鑑定では、フェテアスカ・アルバとモルドヴァ地方のフランクシャとの交配品種だと判明されました。ボディーがしつかりしており、グレープフルーツや白胡椒のニュアンスが特徴です。ルーマニアでは2017年の時点で12,661haと一番多く栽培されており、国内消費用として主に多少の残糖のあるワインが造られています。

◎グラサ・デ・コトナリ(Grasa de Cotnari)
コトナリ地方で最も重要な品種。大ぶりの粒で名前からしても「大粒」という意。貴腐ブドウとしての栽培にも向いており、そのワインは歴史的にトカイと並び称されました。

◎タマヨアサ・ロマネアスカ(Taamaaiioasa Romaneasca)
Muscat Blanc a Petit Grainsと同一品種で、約2000年前に古代ギリシャ人により黒海を通じて伝わった品種だと言われています。甘口や半甘ロワインが造られることが多いのですが、最近では辛口も増えています。栽培嚢はl,668ha。

◎バベアスカ・ネアグラ(Babeasca Neagra)
ルーマニア語では「黒い貴婦人」という意。モルドバ共和国では「ララ・ネアグラ」として知られています。ニコレシティ近辺のガラツィ地方が原産。淡いルビー色が特徴で、主に国内でフルティーで軽やかなワインとして楽しまれています。

◎フエテアスカ・ネアグラ(Feteasca Neagra)
ルーマニア語では「黒い乙女」という意。高品質なワインに向いているとして近年多くの生産者の間で注目されています。
2006年のl,270haから、2017年には2,950haへと栽培呈が増えました。古い品種でルーツは不明です。

◎その他の品種
土着の品種として、他にはフランクシャ(主にコトナリ地方の白プドウ品種)やカダルカ(黒ブドウ品種)などもあります。また、国際品種も多く栽培されており、白ブドウ品種としては特にマスカット・オットネル、ソーヴィニョン・
ブラン、ビノ・グリ、リースリング、シャルドネ、黒ブドウ品種としてはカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、シラー、カベルネ・フラン、ピノ・ノワール、マルベックなどがあります。

ルーマニアのワイン法


ルーマニアのワイン法はEUの規則に準じており、現在、33件のDOCと12件のIGPが登録されています。

主な品質分類:
●DOCワイン ●IGPワイン ●ヴァラエタルワイン ●テーブルワイン ●交雑種ワイン

収穫時期を示す分類(DOCのみ表示可):
· DOC-CMD (Cules la maturitate deplina)‐完熟期に収穫されたブドウ
· DOC-CT (Cules tarziu)‐遅摘みブドウ
· DOC-CIB (Cules la innobilarea boabelor)‐貴腐ブドウ

熟成期間による分類(DOCとIGPともに表示可):
· Rezerva‐樽熟6ヶ月に加え瓶熟6ヶ月以上
· Vin de Vinoteca‐樽熟1年間に加え瓶熟4ヶ月以上
· Vin tanar‐醸造された年に発売される若いワイン

ムンテニエイにある生産者ドメーニレ・サハティーニの貯蔵庫

↓↓ ルーマニアワインの取り扱いはこちらから
https://vnts.shop/SHOP/265520/list.html

次回、ルーマニアワイン特集 Vol.2(ワイン産地)に続く

ピックアップ記事

関連記事一覧