ソムリエ試験の概要

知りたかったワインソムリエ ソムリエールとは

「ワインソムリエってどんな仕事?どうやったらなれるの?」 
「ソムリエールとどう違うの?」 
そんな皆様の疑問にお答えします。 

ソムリエとはいったいどんなお仕事なのでしょうか?今日はソムリエのルーツをお伝えします。ソムリエになるための試験、合格率やワインソムリエスクールまで詳しく解説します。 

 目 次 

 ◆「ソムリエ・ソムリエール」とはいったい何? 

 ◆ワイン提供や選定だけが仕事ではない「ソムリエの役割」  

   1.お客様のお料理や好みに合わせたワインを選びおすすめする 
   2.お店にぴったりなワインを買い付けて管理する 
   3.ぴったりのワイングラスを選ぶ 
   4.ワインを通じたコミュニケーション 

 ◆どうやって取るの?「ワインソムリエ資格」 

   1.一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.) 
   2.全日本ソムリエ連盟(ANSA) 


◆「ソムリエ・ソムリエール」とはいったい何? 

ソムリエの語源はラテン語の「sagmarius」「saumarius」。これは荷物用の牛馬を意味しています。12世紀には「sommier」(荷車)と変化してフランスに渡りました。 そこから13世紀に「sommlier」(荷車)を取り仕切る人として「sommelier(ソムリエール)」という言葉が生まれました。 
以降徐々に変化をして宮廷で食事やワインを取り仕切る人を「ソムリエ」と呼ぶようになりました。 「ソムリエ」は宮廷専属でした。しかしフランス革命により王政が崩壊します。 宮廷から解放された「ソムリエ」は専門技術を活かしてパリでレストランを開きます。 

それがレストランなどで最適なワインを選んでくれるワインの専門のサービスマン。現在の「ソムリエ」ができました。 

フランス語には男性名詞と女性名詞があります。どちらも同じ意味で男性名詞が「ソムリエ」、女性名詞が「ソムリエール」です。ワイン提供や選定だけが仕事ではない「ソムリエ」 。ワインに関するサービスだけではなく、ドリンクの仕入れや品質管理も重要な仕事です。 食事に合わせたワインの選定、ワインに関するサービス全般をこなします。 

◆ワイン提供や選定だけが仕事ではない「ソムリエの役割」 

ワインに関するサービスだけではなく、ドリンクの仕入れや品質管理も重要な仕事です。 食事に合わせたワインの選定、ワインに関するサービス全般をこなします。 
大きな役割は以下の4つです。 

1.お客様のお料理や好みに合わせたワインを選びおすすめする 

ソムリエといえばこの仕事です!お客様の要望や好みを踏まえて最適なワインを選びます。 
ソムリエの腕がなる瞬間ですね。 
お客様との会話からそのシチュエーションにあったベストな1本を選びます。 
必要な知識として銘柄や生産地、ぶどう品種、ヴィンテージと呼ばれるぶどう生産年などを頭に入れています。又、ワインに合う料理も把握。 
それらを踏まえてゲストの好みや相性を考えてベストな1本を選びます。 

2.お店にぴったりなワインを買い付けて管理する 

お店に来るゲストのニーズ、料理や雰囲気にあったワインを選び買い付けるのはソムリエの仕事です。 また、ワインを注文していただいて店舗売上を伸ばすためには、世の中の流行もチェックします。今流行りのワインは何か?マーケティングも必要とされます。 

ワインは管理がとても重要です。温度や湿度の変化がワインの質を落としてしまうからです。 せっかく買い付けたワインの管理が悪いといい状態でゲストに提供できません。 
ソムリエにはワインの管理も重要な仕事です。 ソムリエはワインを買い付けて、ゲストがワインを飲んで良い気分で帰るまでが仕事です。 

3.ぴったりのワイングラスを選ぶ 

ワインをいい状態で飲んでもらうにはワインに合わせたグラスが必要です。 グラスの形状や大きさで香りの感じ方、舌にあたる感覚、温度の感じ方などが変わり味わいも変化します。 ソムリエはワインに最適なグラスを選び、ゲストに良い状態でワインを飲んでもらうのが仕事です。 また、グラスを適切に管理する事もソムリエの仕事です。 
ワイングラスはとてもデリケート。とても薄く割れやすいです。
汚れがないようにきれいに磨く技術も必要。 

4.ワインを通じたコミュニケーション 

お客様と色々なお話をすることも重要な仕事です。その方の好みや傾向、気になっているものなどを踏まえてワインをご提案できます。 またはワインについてのご質問などにお答えするときもあります。 コミュニケーションをとることで次回ご来店頂いたときには ゲストの好みなどを知っているので、より良いご提案ができます。 

ソムリエはワインを通じてゲストに満足していただくのが一番の仕事です。 

◆どうやって取るの?「ワインソムリエ資格」 

日本のソムリエ資格は民間資格です。資格の種類や認定団体についてご紹介します。 

ワインソムリエ資格を認定する団体 


「一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)」 

「全日本ソムリエ連盟(ANSA)」 

それぞれの資格の種類や受験料などをチェックしてみましょう。 

1.一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.) 

同協会では、ソムリエを以下のように定義しています。 

ソムリエの職務が本職(主たる職業・職務)であり、全収入の60%以上をその職務により得ていること 
また、受験に必要な経験として 以下のいずれかを通算3年以上経験、月90時間以上勤務している方 
◆酒類・飲料を提供する飲食サービス 
◆酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、製造、教育機関講師 
◆酒類・飲料に関するコンサルタント業務 

引用元:日本ソムリエ協会 https://www.sommelier.jp 

ソムリエの資格は4種類

ソムリエ

ワインエキスパート

ソムリエ・エクセレンス

ワインエキスパート・エクセレンス

ワインエキスパートとは20歳以上で酒類、飲料、食全般の専門的知識、テイスティング能力を有する方にむけたワイン資格。 ワインに関する仕事に3年以上従事していなくても受験可能な資格ですが ソムリエと同等の知識とテイスティング能力が必要です。 

エクセレンスとはそれぞれの上位資格 

受験資格の条件

・ソムリエ・エクセレンス:J.S.A.ソムリエの資格取得後3年経過しており、ワインに関連する業務に10年以上携わっている人

・ワインエキスパート・エクセレンス:満30歳以上
 ワインエキスパート資格認定後5年目以降の方

幅広いワイン知識が必要で、ソムリエ資格受験よりかなり難しい試験内容となっています。 

合格率と受験者数 

2023年受験者数と合格率です。 

資格受験者数合格率
ソムリエ 3,224人 17.7%
ワインエキスパート 3,499人 41.9%
ソムリエ・エクセレンス 170人 8.8%
ワインエキスパート・エクセレンス 110人 15.5%

受験にはいくらかかるの?どんな試験内容? 

ソムリエ、ワインエキスパート 

ソムリエは三次試験までありますが、エキスパートは二次試験までとなり書類審査を経て合格者が決定されます。 また2023年より第一言語が日本語以外であったり出生が日本以外であったりする方の為に英語受験も可能となりました。
それぞれの試験内容は以下の通りです。 

一次試験(教本からの筆記試験) CBT方式 

二次試験(テイスティングと論述試験) 

三次試験(ソムリエのみ、実技:指定のボトル抜栓とデキャンタージュ) 
ソムリエ、ワインエキスパートの受験料 

一次試験は2回まで受験が可能です。受ける回数によって料金が変わります。また過去5年以内に一次試験及び二次試験に合格した方は同呼称であればその試験を免除できます。 一般料金とは別にソムリエ協会の会員に申し込むと会員価格での受験が可能です。 

一次試験から受験される方 
1回受験 29,600円(一般) 20,380円(会員) 
2回受験 34,440円(一般) 25,220円(会員) 

二次試験から受験される方 
14,210円(一般) 7,300円(会員) 

三次試験から受験される方 
7,100円(一般) 3,650円(会員) 
合格後には別途認定登録料20,950円が必要 

一度は着けてみたい!ソムリエバッジ 

J.S.A.のソムリエ試験に合格して、認定登録をすると葡萄がデザインされたバッジが発行されます。 ソムリエバッジと呼ばれ、現在で発行されるソムリエバッジは4種類あります。 

ソムリエバッチの種類

ソムリエ
ソムリエ・エクセレンス
ワインエキスパート
ワインエキスパート・エクセレンス

実はソムリエ資格は2019年度に以下のように呼称が大きく変わりました。 

  • ワインアドバイザー→ ソムリエ に統合 
  • シニアワインアドバイザー→ シニアソムリエ に変更 
  • シニアソムリエ→ ソムリエ・エクセレンス に変更 
  • シニアワインエキスパート→ ワインエキスパート・エクセレンス に変更 

2019年度以前のソムリエバッジは6種類ありました。参考まで。 

  • ソムリエ 
  • シニアソムリエ 
  • ワインアドバイザー 
  • シニアワインアドバイザー 
  • ワインエキスパート 
  • シニアワインエキスパート 

すでに資格を取得済でシニアワインアドバイザーの呼称バッジを持っている人でも、公式サイトより申請をすれば変更が可能です。 

2.全日本ソムリエ連盟(ANSA) 

NPO法人料飲専門家団体連合会(FBO)が認定する機関。こちらではソムリエを 飲み手の好みや要望を察知しワインとその楽しみ方を提供出来る専門家と定義しています。 受験は20歳以上であれば、」だれでも可能です。
必要な経験はありません。 以下のような方に推奨しています。 

◆飲食店従事者(特にバル業態、居酒屋業態など) 

◆宿泊施設従事者(特に旅館など) 

◆小売店従事者(ワイン専門店よりも酒類全般を扱う業態など)
 
◆上記に就職を希望する学生 

◆ワイン愛好家 など。 

合格率の発表はありません。様々な受験形態があり比較的合格しやすいソムリエ資格です。 受験申し込み時に「ワインコーディネーター」または「ソムリエ」を選択します。 

どうやって受験するの?受験料はいくら?

受験をするには4つのコースから選択をします。必ずオンライン、もしくは会場で受講がセットとなっています。 FBO会員は会員価格で受講が可能です。合格後に認定を受けるにはFBOへの入会が必要です。 

eラーニングコース 
約1.5ヶ月〜5ヶ月でスマホやタブレットを使いオンラインで学習。申し込みから資格の取得まで完了します。 テキストと動画配信付き。テイスティング用ワイン4本と課題ワイン2本が送付されます。受講中に4回の課題提出で合格認定されます。

通信コース 
約3ヶ月〜5ヶ月で時間や場所を選ばずテキスト教材で学習でき、資格取得ができます。テキストと動画配信付き。 テイスティング用ワイン4本と課題ワイン2本が送付されます。受講中に3回の課題提出で合格認定されます。

2日間集中コース 
テキストが事前に送付され、事前ワークで予習。指定の会場で2日間集中的に受講、受験までを行います。テイスティングあり。受講中に4回の試験があり合格で認定。 不合格でも後日の補習、再試験もあります。合格までサポート。 

オンデマンド受講コース 
テキストが事前に送付され、講義をオンデマンド(動画配信サービス)とテキスト教材で受講。受講後1年以内に会場で受験を行います。テイスティング用ワイン4本が送付されます 。

コース名受験料合格後別途諸費用
eラーニングコース 一 般:68,860円
FBO:34,430円
一般:59,900円
FBO:11,364円
通信コース 一 般:76,560円
FBO:34,430円
一般:59,900円
FBO:11,364円
2日間集中コース 一 般:68,860円
FBO:34,430円
一般・FBO:込
オンデマンド受講コース 一 般:56,870円
FBO:28,435円
一般:59,900円
FBO:12,500円
※合格後別途諸費用:認定料、入会金、年会費等

ライター 鎌田 陽(かまだ ひかる)

元ホテルマン。レストランを中心にソムリエとして勤務。ワインに関わって約10年、メーカーズディナーなどのイベントを企画・開催「ワインは人を幸せにする飲み物」をモットーにフリーランスライターやインポーターとして活動中!

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