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ワインの醸造にはコラージュ(清澄)が必要?

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卵白・ゼラチン・ベントナイトはそれぞれ本当に使用しているのか?ベントナイトって何?必要に応じて使用するとは、使わない(ノン・コラージュ)ワインは美味しいの?

教本での清澄は卵白・ゼラチン・ベントナイトを使用と書いてありますが、本当に使用しているのか?またこれらの清澄剤を使わないノン・コラージュではワインへの効果は?

コラージュ、ノン・コラージュとは?

コラージュとはフランス語でcollage、清澄という意味で、英語だとfiningです。ワインに限らず、どのお酒も発酵後はたいてい濁っています。しかし店頭に並んでいるワインはほとんどきれいで、濁りがありません。例外的なのは、日本のワインで新酒として発売されているくらいでしょうか。ではなぜ濁りがないかというと、コラージュつまり清澄化処理されているからです。

発酵直後で清澄化の前にまず濾過されます。特に赤ワインやオレンジワインはブドウの果皮や種と一緒に発酵され、その後は不要となります。これは目に見えるくらいの大きさなので、そこまで難しくありません。もちろんここでもどんな濾過技術を使うかによって、ワインの品質やスタイルに影響を与えます。

問題なのは肉眼では確認できないものの、濁りの原因となっているワインのタンパク質成分です。これらは濾過では除去しきれません。また熱変化に弱い特徴があり、透明な白ワインに見えても、もしコラージュをしないといつの間にか白く濁る可能性があります。

そういうわけでコラージュは重要なワイン醸造の一部です。しかし必須事項ではなく、最近ではノン・コラージュをあえて謳うワインメーカーもいます。ワインのおいしさに寄与する成分まで失ってしまうのではないかと危惧する声もあるからです。また赤ワインでは、ノン・コラージュであっても長い熟成により、タンニンが濁り成分と重合して固形物として底に沈殿します。時間がコラージュの役割を担っているのです。そもそも濃い赤ワインは多少濁りがあっても、色の濃さゆえにあまり目立ちません。

コラージュする前にどの程度使うべきか試さないといけませんし、清澄化後は濾過しないといけません。ノン・コラージュのワインはそうしたコストや手間を省くという観点でもメリットがあります。

コラージュに使用する清澄剤とその効果

ではコラージュする場合にはどうするのかと言いますと、清澄剤をワインに投与します。具体的には、主に卵白、ゼラチン、ベントナイトです。他にはアイシングラス、活性炭、そしてシリカゾルをはじめとするワイン用工業製品もあります。

卵白はもしかしたら一番有名かもしれませんし、実際古くから使われており、そして高級なボルドーにも利用されています。卵白に少量のワインを混ぜてそのままワイン樽に投入してまんべんなく撹拌させます。バリック樽(225ℓ)に最低3個あれば効果を発揮します。最近では、粉末状にされたものも販売されています。ちなみに余った卵黄はカヌレというボルドー伝統のお菓子に使われます。

ゼラチンは動物の皮や骨を煮出した後に酵素などで処理される物質です。最近では植物性のゼラチンもあるようです。白ワインの場合には、シリカゾルという鉱物系由来の製品と一緒に使用されることが多いです。

ベントナイトは全米各地で採掘される粘土の一種で、火山灰が変性してできたアルミニウムの含水ケイ酸塩化合物。清澄過剰とならない一方で、ワインの果実味を奪ってしまうリスクもあるので、使用量や使い方には注意が必要です。主な清澄剤の中では唯一動物性ではありません。

アイシングラスとは主にチョウ鮫などの浮袋から作られるもので、ゼラチンの一種ととらえることもできます。主に白ワインに使われます。活性炭はほとんどの国で白ワインのみに許可されていますが、今はウォッカの濾過でのほうが有名かもしれません。

さらには前述したシリカゾルやPVPPという工業製品まで使われています。かつては牛の血も使われていましたが、EUの法律で禁止されました。

最近ではヴィーガン向けのワインも作られるようになってきました。ヴィーガン認証ワインもあります。ヴィーガンとはただの採食主義ではなく、その食品が製造される過程で一切の動物性のものが使用されていないものしか口にしない人たちのことです。

ワインにおいては動物性の清澄剤が使用されていないことがヴィーガンワインの条件の一つです。上記ではベントナイト、植物性のゼラチン、活性炭、シリカゾルが対象となります。この中でもベントナイトは主要な清澄剤の一つでありますが、急に需要が上がってしまうと、採掘か追い付かなくなる可能性があります。

なおヴィーガンワインの条件としては、畑仕事に馬や牛を活用しない、土壌に貝殻などの動物性のものを散布しないなど、他にもいくつかあります。

コラージュは見た目のため?ノン・コラージュは美味しいの?

コラージュにはこのようにいろんな清澄剤が使われており、ワインの製造工程においていかに重要なプロセスかがよくわかります。しかし必須事項ではないことも前述したとおりです。

コラージュの目的はまず何といっても濁りを取り除くことです。濁りがあると誤解を招くからです。すでに多くのワインがコラージュされて流通している以上、消費者はワインが透明できれいなお酒だと認識しています。そのためグラスに注いでみて少しでも濁っていると、何かしらの劣化ではないかと疑ってしまいます。さらには販売店に返品のクレームが来てしまうかもしれません。

クレームまでいかなくても、濁りワインは飲み手に低品質や不完全品の印象を与えかねません。ワインは香りや味わいを楽しむものですが、見た目の印象はそれらにネガティブに作用しかねません。美味しいカレーでも、それが青色だったら食欲は一気になくなります。

ある調査で、ワインのプロテイスターに無味無臭の赤着色料の入った白ワインをテイスティングさせたら、赤ワイン的なコメントを書き出しました。いかに見た目が味覚や嗅覚に影響を与えるかがよくわかります。

見た目だけの問題ではありません。赤ワインには渋みや苦みの原因となるタンニンが含まれており、タンニンをある程度除去するためにもコラージュは大切です。ただし除去し過ぎると、今度はワインの果実味や酸味とのバランスが崩れる可能性もあるので、量の調整が必要です。

逆に言えば、白ワインの外観を気にしなかったり、もともとタンニンの少ない赤ワインであればノン・コラージュでも問題ないということになります。むしろワインの風味や本来のテクスチャーを守るためにも、ノン・コラージュもまた重要な選択と言えます。確かに日本酒の濁り酒は透明な日本酒にはない美味しさがあります。

まとめ

ここ最近、ノン・コラージュのメリットを踏まえて、敢えてそれをしないワインもしばしば見かけるようになったのではないでしょうか。事実、「無清澄」とか「Non-Fining」という表記をラベルに見かけるようになりました。

しかしそれらの言葉は裏ラベルに表記されていたり、小さく書かれていることが多く、あまり目立ちません。日本ワインで、日本語で書かれているならばまだしも、それぞれの言語で書かれていると意味が分からない可能性が十分あります。さらにはノン・コラージュであってもラベルには一切表記がない可能性もあります。基本的には法律上、表記する義務がありません。

そうなるとノン・コラージュのワインが誤解されないためには、その魅力に納得している人にだけ購入できるようにするか、あるいはそれを説明できる店員を配置する必要があります。前者だとPOPにわかりやすく大きな字で「無清澄」と書かなければいけませんし、後者だとセルフサービスが主体のスーパーやディスカウントストアでは販売できないことになります。

コラージュするにしても、今後安定して卵白やベントナイトが入手できる保証はありません。卵白をはじめとする動物性のものは、今後ヴィーガンでなくても好意的に受け止められなくなる可能性はありますし、インフレや気候変動により値上げになるかもしれません。非動物性の清澄剤は種類が限定されています。これらを基にしたPVPPなどの工業製品は果たして自然派ワインとして認められるのでしょうか。

アレルゲン表記の問題も起こっています。基本的には清澄剤は濾過されるためワインに残りません。しかしほんのわずかでも残っていると、敏感な人にはアレルギー反応を起こすリスクがあるとして、EUでは一部条件下で表記義務があります。零細のワイナリーにとって、アレルゲンの化学分析はコスト負担があることから、意に反して違う目的でコラージュをしないこともあります。

今後はコラージュはワインの見た目や味わい以外の側面で活発な議論がされることになるのでしょうか。

今回は清澄にターゲットを向けましたが、ワインの醸造方法は様々。色々試して楽しみを増やすのも良いですね。

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