ヴィノテラスの「自然派ワイン」の定義について
オーガニック認証を取得していない、またするつもりはないけれども「自然派ワイン」を謳うワイン生産者は多くあります。
その基準や定義は生産者によってまちまちでヴィノテラスでもそれを大上段に定義することは憚れます。
そこで慣行農法に比べてより自然なワイン造りに取り組んでいる生産者の数ある目安の一つとして、
基本的に発酵において既製の培養酵母を添加するのではなく、ブドウを潰すことにより、自然に発酵が始まる「野生酵母」で醸されたワイン
を、ヴィノテラスでは「自然派ワイン」と表記しています。
野生酵母の利用による発酵について、ヴィノテラスでは次のように整理しています。
- 野生酵母で発酵させるか培養酵母を使うか否かは、良し悪しの問題ではなく、またどちらのブドウ畑が健全かどうかという問題でもなく、「どのようなワインを造りたいか」というワイン生産者の基本的な方向性による。
- 作柄により補助的に培養酵母を使う生産者も「自然派」の対象としている。
- 野生酵母は発酵力が概して弱く、最終的にどの酵母が発酵を担うことになるのかわからず、出来てみないとどんなワインになるのか予測がつかないというリスクがある。
上記のことから、現代では世界中の圧倒的多数のワイナリーで、自然酵母に比べて強く、安定して発酵を促す培養酵母が使用されているという現状があります。
以上のことから、ヴィノテラスのショップでは商品説明中の「自然派カテゴリー」のカテゴライズを行っています。
また「ビオディナミ」、「オーガニック」についても、同じくヴィノテラスの基準でカテゴライズしています。
※カテゴライズの詳細は文末に掲載。
テロワールを最大限表現するものとしての自然派ワイン
ワインの世界でよく言及されることに「テロワール」というフランス語があります。
「テロワールを反映したワイン」といえば、それは「気候、土壌、地形などの生育環境の特徴を反映したワイン」ということになりますが、まさしくそのテロワールの表現を最大化するアプローチが「自然派ワイン」なのだと言えるのではないでしょうか。

テロワールを反映した瑞々しい自然派ワインたち
ワインの魅力、あるいは魔力に魅入られ、敬虔さを持ってワイン造りに携わる人々。
その敬虔さが、「大地を人為的にコントロール」するのではなく、よりよいワインになるように自然環境に方向付け=奉仕するために「大地の使用人」となるスタイルに帰着した結果が自然派のワインなのだと言えます。
私たちは、これまでヨーロッパ各地を巡り「ボトル1本を楽しめるワイン」を探し求めた結果、そのようなスタイルでワインを造る生産者のワインを多く扱うこととなりました。
私たちは当初から「自然派ワイン」を探し求めたわけではなかったのです。
テロワールを反映した瑞々しい自然派ワインたち。
それらのワインを味わうと、その元となったブドウを育んだ大地を飲んでいる、端的に土の味がするという味覚体験を誰もが通過するものです。
- ブドウの樹を育んだ風土。
- ブドウの樹が土壌から吸い上げた様々なエキス。
- その土地特有の生物、微生物そして有機物がワインに及ぼした力。
それらが凝縮されたもの。
それが自然派ワインの目指すところと言えるのではないでしょうか。

LOHASなワインであるということ
冒頭で申し上げたようにヴィノテラスでは独自の自然派ワインの定義に基づいてワインをカテゴライズしています。
しかしながら「自然派ワイン」については、一般的に議論百出しがちであることも事実。
それらの議論の中では自然派ワインは概ね、次の論点や文脈で語られることが多いかと思います。
- 循環型農業であること。
- 有機的であること。
- 自然のエネルギーが閉じ込められていること。
まず「循環型農業」をベースにしたワインであるということについては、土地本来の生産力を超えるようなことをしない、言い換えると、土地本来の生産性を超え、同時に殺してしまうような化学物質や外来物質の過剰な使用を避けることで、サステイナブルな農業生産を実現しているということがあります。
次に「有機的」であるということですが、栽培や醸造において、その土地特有の生植物由来の有機物やその作用を利用することで、そのワインは生産されているのです。
そして、それらを実践することで自然本来のエネルギーが1本のボトルに宿ることになるのです。
その土地特有の育成循環で外から物質を取り込まずに充足し、かつ持続性がある。
そしてそのワインには、その畑で、その風土でしか感じることの出来ない特有のエネルギーが詰まっている。
それらが1本のボトルの中で完結しているのだとしたら、自然派ワイン=LOHASなワインという言い方をしても良いのかもしれません。

洗っていないブドウ酒を飲むということ
こう聞くと意外に思われるかもしれませんが、ワインとなるブドウは“洗って”いません。
皆さんは、野菜や果物を食べる前に、きっと水洗いをすることと思いますが、これをするのは、土や埃を洗い流すという以上に、「農薬を落とす」という意識でそうされている方が多いのではないでしょうか。
上述のように自然派ワインの生産者は、極力培養酵母を使わずにブドウの果皮に付いた天然酵母のみでブドウを発酵させています。
ブドウには当然、ワインにとって良い酵母=微生物だけが付いているわけではありませんが、テロワールを表現するということは、言い換えてみると、
生植物由来の有機的な循環系を1本のボトルに集約させている。
と言えるのではないでしょうか。
ですから自然派ワインの生産者たちは、有機的な物質やそれらの作用が、より良く美味しいワインに向かうよう、栽培や醸造において“方向付け”をしているのです。

ワインの商品説明における自然派カテゴリーについて
最後に冒頭で申し上げたようにヴィノテラスのショップでは、個々のワインについて自然派ワインに関する弊社独自のカテゴリー分けをしておりますので、以下にその詳細をご紹介いたします。
すべてのワインの説明文中にカテゴライズがありますので、ワイン選びの参考にしてください。
ビオディナミ
ヴィノテラスではビオディナミの証機関であるデメター(デメテール)の認証を受けているワインを「ビオディナミ」と表記しています。
「ビオディナミ」農法とはオーストリアの思想家ルドルフ・シュタイナーが提唱した、生物の潜在的な力を引き出すために土壌に活力を与えて、植物を育てる農法です。
ビオ=生命、ディナミ=エネルギーを意味します。
化学肥料や化学農薬などを一切使用しない点はビオロジックと同じですが、プレパラシオン(プレパラート)とよばれる自然界に存在する物質から生成された調剤を畑に散布し、月や惑星の動きを考慮してぶどうを育てます。
ビオディナミ農法は自然に任せるだけではなく、自然の本来持っている力に働きかけて、それを最大限に引き出して葡萄をつくることを目指しています。
オーガニック
ヴィノテラスでは国やオーガニック認証団体により得た有機農法の認証を受けているワインを「オーガニック」と表記しています。
これらのワインに使われる葡萄栽培においては化学肥料や除草剤、殺虫剤などの化学薬品を一切使用しません。
しかしながら、病虫害予防にはボルドー液など一部の調製品の使用が認められています。
※代表的な認証マーク:ユーロリーフ、エコセール、ABマーク
自然派
こちらについては冒頭でご説明させていただいた通りです。